1月は行く、2月は逃げる、3月は去る…昔の人は上手く言ったものだなぁ、と心底思います。節分も過ぎて、これから徐々に春めく季節。新型コロナウィルスの話が日に日に大きくなっています。私を含め花粉症の方のマスク確保が心配です。
さて、今回も成年後見制度にまつわるお話です。せっかくの機会なので、成年後見制度の基本的な仕組みを少しずつ書いていきたいと思います。
今回はしばしば『意味も差も解らない!』と言われる、「補助・保佐・成年後見」の3類型について。
先日、内閣府から「認知症に関する世論調査の結果」が発表されました。
その中の質問項目で成年後見制度に関するものがあったのですが、結果を見ると、制度の知名度がまだまだ低いことが伺えました。普及啓発をもっと頑張っていかねばなりません。
成年後見制度は認知症等で判断力や理解力が低下している方の、財産管理や各種契約などを本人に代わって行う制度です。利用には家庭裁判所へ申立てが必要ですし、申立てのためには医師による診断書が必要です。家庭裁判所では、診断書やケアマネジャー等が記入する生活に関するシートと、本人調査を経て「補助」「保佐」「成年後見」のどの類型になるかを決めます。
この3類型は、本人の判断力がどのような状態かによって決められ、分かりやすく言うと、何か大きな物事の判断や管理だけを行ってもらいたいと思う場合は「補助」、全般的に財産管理と身上保護が必要な場合は「成年後見」、補助と成年後見の間ぐらいで、ある程度の財産管理には支援が必要という場合には「保佐」ということになります。
補助の場合は申立て代理権や同意権を決めるためには本人がそれを了解していなければなりませんし、保佐の場合は代理権を付ける場合にはそれを本人が了承しなければなりません。成年後見制度は、ときどき「申し込んで後見人がきたら、全部とられてしまう」と思っていらっしゃる話を聞きますが、そういうわけではありません。(そして、もちろん、取ってしまうのではなく、ご本人のために適切に財産を管理、支払いなどを行うのが鉄則です)
成年後見だとおもって申立てをしても、類型が保佐や補助に変わる場合もあります。診断書の情報だけでは分からない場合、精神鑑定をして、適切で適量の支援ができるように類型が変わることがあるわけです。
成年後見制度は、本人の財産をまもり、生活を守る制度です。福祉的な視点から考えると、出来ることまでも取り上げて支援者が行ってしまう過干渉な状態は良いとは言えません。成年後見制度は、本人の状態に合わせた支援を行う仕組みを持ってることを知っておくと、利用を考える際に良いかとおもいます。
これから成年後見制度は、各市町での利用促進事業も進み、どんどん利用が進んでくると思いますが、知らなければ他人に財産を管理されるというのは気味悪いものです。正しく知って、必要な時には適切に活用できるといいですね。