今年も人出も少なくなった1月の終わり頃に地元の神社にお参りに行った。御祈祷を受けると神主さんが、神前で祝詞を唱える前に御祈祷を受ける人の名前や年齢を神様に告げられる。「〇〇に住まう田中真弥60才〇〇〇」と言われてハッとした。数えの還暦だ。これから後何回野菜が作れるのだろう。何とか農薬と化学肥料に頼らない農業を続けては来たものの小さな世界の中に留まっているような気がしてならない。農を介して自然と関わる事の難しさ、自然なしに成り立たないにも拘らず埋める事の出来ない隔たりも感じている。この隔たりは、人の心が、作り出しているのかもしれない。すやすや眠る赤子が、ただただ無垢な赤ん坊が無垢故迷える私を覚りの世界へと導いてくれる菩薩のようにも見える。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。