ふるさとになろうよ(3)

今年も残り少なくなりました。5月に成立してしまった入管法改定案について、「ふるさとになろうよ」というタイトルで2回記事を書きました(5月11日の記事25日の記事です)。法改定以前でも難民の受け入れに消極的であった日本で、難民の人たちの人権と生命がより危険にさらされるような状況となりました。そのような中でも、希望の持てるニュースもありました。母国での性的迫害を逃れて日本に来た方に在留特別許可を出すようにという意見書が、牛久市議会で可決されたとのことです。


さて、勤務校の複数の学生さんから、「難民は日本の治安を悪化させる」という意見が寄せられたので、改めて調べてみました。結論から言うと、そのようなデータはどこにもありません。難民の人が犯した犯罪があるとしても、それだけでは「難民が治安を悪化させる」とは言えません。難民であろうと移民であろうと、外国にルーツのない日本人であろうと、犯罪をする人もいない人もいるわけで、それ以上のことは言えないからです。
そもそも外国人全般でみても、治安の悪化とは関係がありません。


関連する解説記事をいくつか紹介します。
令和2年の犯罪白書にまとまった記事がありました。


他にも2023年に書かれた記事として次の2つがあります。


外国人による犯罪は2000年代前半をピークに減っていること、出身国との関連は特にみられないことがわかります。また、2000年代前半に外国人犯罪が増えた背景には、日本人犯罪者であればいちいち追求しない余罪を詳細に数え上げたりしていたからであると指摘する論文もありました。

他方、ヨーロッパのように難民が大量に押し寄せる国々では、家賃の高騰などの経済的混乱が発生したりしていることはあり、少なからぬ国々が対応に苦慮しているようです。イギリスの対応が国内外で問題になっています。


ただ、経済問題と治安問題は別の問題で、この点は混同すべきではないと思います。また、日本はヨーロッパとは異なり、大量の難民が押し寄せるような地理的条件に今のところはなく、深刻な経済問題が発生する可能性も高くないと思います。
法律は国民の声の高まりで変えていくことも可能です。事実を冷静にとらえながら、様々な問題を考えていきたいと思います。どうぞよいお年をお迎えください。
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西垣順子<大阪公立大学 高等教育研究開発センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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