解決策は待遇改善以外にないはずがー教員不足問題ー

少し久しぶりに会った友人が、9月から中学校の美術の先生になりました。彼女はいろんな場所で陶芸を教えていて、学校に出向くこともありましたし、学校に行きづらい子どもたちが参加できる陶芸教室のようなこともやっています。このたび縁あって、学校で勤務することになったけれども、教員不足で学校現場は大変な状態という話を聞きました。
彼女がなぜ(4月からではなく)9月から勤務することになったのかは尋ねていません。もともと担当していた先生が病気になられたり、または一学期は「美術教員1名欠員状態」で他の先生方が無理して頑張っておられた可能性もあるのかと思ったりします。そうではなく、「前任者が9月から産休に入られました」というおめでたい理由であったら良いなと、思わず願いました。かつてであれば、「年度途中からの採用は産休による」と決まっていたようなものだった気もします。
さてこのような状況に、さすがの政府や与党、文科省なども危機感らしきものを持ったのか、8月末には中央教育審議会による緊急提言がでたことがニュースになっていました。


ただ、緊急提言を銘打っているわりには細かな小手先の対応がほとんどで、問題解決に至るのかは疑問です。実際のところ、教員の働き方改革を訴えてきた教員グループからも希望が持てるものではないとう見解が表明されています。


前回の記事でも書きましたが、教員を増やすためには、非正規雇用をやめたり、1クラスの人数を減らして業務を削減したりする教員の待遇改善が必須です。また、家庭の力が落ちてきている現状を考えると、教員の業務を仕分けして減らすだけではなく、カウンセラーやソーシャルワーカーなどの教員とは異なる専門性をもつスタッフを、しっかりとした待遇で雇用することも必要でしょう。
でもそういうことはしないのですよね…。どうやら「お金がかかるから」というのが理由であるようですが、そこはケチってはいけないのではないでしょうか。なおこちらのツイートがうまくまとまっていると思いましたが、ぜひとも「さらに表示」を押して全体を見てみてください。対策の的外れぶりがよくわかります。


そしてお隣の韓国でもこんなニュースが。


背景は少し異なっているのかもしれませんが、先生方のおかれている状況が厳しいという点では同じであるようです。そして日本との大きな違いは、学校を休んでデモをしている先生方に対して、一般の市民が応援の姿勢を示していることかと思います。
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西垣順子<大阪公立大学 高等教育研究開発センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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