自宅にいる要介護老人は自分でマイナンバーカードを取りにいかないといけないそうでうす

マイナンバーカードをめぐって、目が点になりそうな出来事がありました(安全性とは次元の異なる話です)。
安全性等について疑義が呈せられてもいるマイナンバーカードですが、「この先弱る一方だが、まだまだこの世にいる予定の要介護2の母がいる」という我が家の事情を考慮して、申し込みがすべてオンラインでできるようになったのを機に作成しました。ちなみに母は、カードも電子マネーも使わないので、ポイントは受け取れません。
しかし、想定外の事態が起きました。
国が示している基準により、「自宅にいる要介護老人は、家族等の代理受け取りは認めません。車いすなどで自分で取りに来るように」とのことです!
あの、うち、エレベーター無しの2階なんですが。どうやって車いすで降りるのでしょうか?

母は普段はヘルパーさんに来ていただいていますが、自分から出かけられません。通院介助をする人のイラスト(女性)
厳密に言うと、全くできないわけではありません。
まず、介添えが必要です。
また、午前中は身体が固まって動かないのと、夕方は足元が悪いため、お昼前後しか出られません。
雨や雪の日、強風の日も出かけられません。
そして通院などで仕方なく出かけた日は、疲れ果てるので、帰宅後2日ほど寝込みます。
他方のマイナンバーカードは、役所が開いている平日に受け取りにいかないといけません(私は仕事があります!)。月に何日か、日曜の午前に臨時窓口が開くようですが(堺市の場合)、私は土日にも仕事が入ることが多いです。
また私の都合が合ったとしても、雨が降ったら無理ですし、土曜に通院する日の翌日であっても無理です。
それに何より、「実質的に国が作成を強制しているマイナンバーカードを、2日ほど寝込むことと引き換えに取りに来い」というのは、非人道的なのではないでしょうか?
仕方ないので、受け取りにいかないことになりました(本人も、「意地悪されているとしか思えない」と言って、受け取りに行くことを拒否しています)。ちなみに期限内に受け取らない場合、1年間は保管されるそうです。場合によっては、役所の方が持ってきてくれることもあるかもしれないが、1年経てば廃棄になるそうです。
私も母も、区役所の人を困らせたいわけではないのですが。

要介護2のお年寄りは、自分のことがある程度はできます。けれどもその1つ1つが「重労働」です。母の場合、食事もトイレも自分でできますが、食事は1時間くらいかかりますし、トイレは20分くらいかかります(大便はもっとかかります)。こういうことを知らない人たちが、政策や方針を決めているのだなあ…とつくづく思いました。
そう言えば、昨年末になんとか先送りになりましたが、要介護1と2の人は介護保険の対象から外すことになりかかりましたね。仮にそうなってしまったら、日本中で介護離職が続出せざるを得ず、お年寄りも若い人たちも共倒れになることは目に見えています。上野千鶴子さんがそのあたりをまとめて話している動画があったので、掲載しておきます。

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西垣順子<大阪公立大学 高等教育研究開発センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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