こころ野便り~農業について思う。これから その13

夏野菜の植え付け時期を迎えた頃、隣の畑に子連れの若い夫婦が、自家用有機菜園を始めた。仲間も巻き込んで楽しげに作業をされていた。少し話をしてみた。有機農業理論と現代農業に対する批判は、一流だった。しかし、私は、その話しぶりに多少の違和感を覚えた。梅雨が明け夏野菜の最盛期を迎えた今。その畑は、雑草に覆い尽されてしまっている。楽しげな家族の姿もここ暫く見えなくなった。容赦ない自然の振る舞いに理想が砕かれてしまったのだろうか。彼は、現代の農家は、肥料屋や農薬屋に洗脳されていると言っていた。しかし、それでも農家は、多くの利益を望まず酷暑の中投げ出すことなく働き続けている。先ずは、自然と共に働く一次産業従事者へのリスペクトがあってから有機農業を語って欲しい。無為自然と折り合いをつけることは、た易いことでない。自分達の足元で食料を生産すること、身の回りに有る物を活用すること、身の回りの自然環境と折り合いをつけることで成り立つ有機農業は、平和の基礎だと思うのだ。周りをあてにし過ぎず出来るだけ自律的に食料を生産したい。有機農業の目的は、安心・安全でおいしい野菜作りだけでは無い。本当の平和とは、本当の強さとは?この問いに有機農業から答えを導きたい。一生を掛けて。

京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら


Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/canaria-club/www/wp-content/themes/mh-magazine-lite/content-single.php on line 21

Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/canaria-club/www/wp-content/themes/mh-magazine-lite/content-single.php on line 30