カナリア朗読劇場「日本国憲法」第2シリーズの2回目は第三章 国民の権利及び義務から第19条と第23条です。かつて研究者や教育機関などが軍部の要請に従って戦争の片棒を担いだことがありました。この反省から「学問の自由」が第23条で保障されています。朗読はフリーアナウンサーの塩見祐子さん、イラストはかしわぎまきこさん、解説は大阪公立大学高等教育研究開発センター教授の西垣順子さん、動画の再生時間は38秒です。引き続き内心の自由と表現の自由の保障を定めた第19条・第21条はこちらから、関西勤労者教育協会副会長・中田進さん解説による第1シリーズはこちらからご覧ください。
19条で内心の自由を定め、それが23条で学問の文脈で明記されています。学問は新しい知を生み出すことで、社会の進歩に寄与してきました。しかし新しい知は、既存の社会や体制から歓迎されるとは限りません。権力には都合の悪い真実を暴くこともあり、迫害の対象にもなりえます。真理の探究が阻害されると、社会全体に悪影響です。他方で学問は、権力の自己正当化のためにうまく利用されることもあり、そうなると一般市民に害を与えます。
日本国憲法のこれらの条文は、学問を通じて世界を探求する研究者や学生の自由を守るとともに、その責任の自覚と倫理観を促すものと言えるでしょう。学問の自由は、学問をする人々のためにあると同時に、市民のためにあるのだということを忘れないでおきたいです。
※次回は8月4日(木)に第24条を公開予定です。