こころ野便り~農業について思う。これから その8

一面に広がる小麦やトウモロコシ畑。日本にも大規模な農業経営が増えた。単一作物の畑は、一見壮観だが異常な光景でもある。極端に生物多様性に乏しい農地は、人の手によってかろうじてバランスを保っている。一度発生した病気や害虫の被害に自然治癒を期待することは、出来ない。しかし、私の畑では、全ての場合ではないにしろ病気が治って行く過程や発生した害虫の密度が下がって行く現場を目の当たりにすることがある。人工的な畑と言う環境でありながらも、ある程度自然治癒力が、備わっているようだ。農薬に全面的に頼っている農家では、経験することの無い光景かもしれない。私達人間も生活習慣の改善が自らの治癒力を高めることを知っている。畑に有機の発酵肥料を使うことや休養期間として作物以外の植物を育てる期間を設けたり、野草にも少し居場所を提供したり、人で言う「ゆとり」の様なものが、結果として良い野菜を育む事になるのではないだろうか。とは言え身に付いてしまった生活習慣を変えることは、た易いことではない。大きな病気をして初めて気付いた。という話も良く聞く。葱は、夏育て難い。葉ネギである九条葱は、暑い夏の間、緑の葉の部分は見る影もない。しかし、枯れてしまったわけではない。涼しくなれば復活する。それまでの間、白い部分に養分を溜め夏の暑さを耐え忍ぶのだ。自宅では、夏の間九条葱は、葉ネギだという固定観念を捨て、白葱の様な姿にして無農薬でありながらピリリとした辛さと食欲をそそる香りを夏でも楽しんでいる。発想の転換も必要だ。

京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら


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