こころ野便り~農業について思う。これから その7

いつ終わるとも知れない草取りをしながら土の中に張り巡らされた草の根を想像する。土の僅かな隙間に存在する水を微細な根が吸収する。その水には様々な元素が溶け込み、いずれ植物の体の一部になる。小さな土塊、水の分子、そこに溶け混む原子。際限なく小さな世界。水の分子は、葉の中で光の粒とぶつかり、飛び出た電子が、たんぱく質のモーターを回す。光合成の回路の一部だ。大きさが分からないほど小さな世界。でもそれらが、形有る物を作っている。腰を伸ばすため立ち上がって背中を反らす。細かな雨粒を運んだ雲が東に流れ、西日が虹を作る。虹は、百姓の凱旋門。背後に広がる空は、宇宙へと続く。明日の朝は、少し冷えるかな。地表の熱が宇宙へと逃げて行くから。他愛ない日常が自然科学に満ちている。自然科学が、農業を面白くしてくれる。

京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら


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