京都府立植物園は今のままが良い

京都市内の桜が見頃を迎えています。左京区の京都府立植物園の桜林にはソメイヨシノや寒緋桜、ミドリザクラ、チョウジザクラ、ヤエベニシダレなど、様々な品種の桜が満開で、10日まで桜のライトアップも行われています。京都府立植物園は1924年(大正13年)に日本で最初の公立植物園として開園した歴史ある植物園で、面積240,000㎡ (24ヘクタール) の広大な敷地にテーマ別に約12000種類、約12万本の植物が植えられています(Wikipediaより)。この植物園を含む一帯を再開発して賑わいを創出しようという「北山エリア整備基本計画」が2020年12月に策定されました。

計画では植物園に隣接する京都府立大学の体育館が老朽化しているので、建て直して1万人規模のアリーナにし、体育の授業や部活だけでなく、音楽イベントやスポーツ観戦にも使える様にするとか。学生2000人程度の大学のキャンパス内に、何故1万人規模のアリーナを作る必要があるのでしょうか。植物園の正門前にはレストランやカフェを作るほか、閉館した旧府立総合資料館跡にシアターコンプレックスを作る計画もあります。演劇好きとしては劇場が出来るの喜ばしいと最初は思ったのですが、よく聞いてみるとコンベンションや飲食、さらに宿泊も出来る建物にするそうで、今でも乱立気味のホテルを閑静なエリアに作らなくても良いでしょう。昨今のコロナ禍で忘れてるけど、京都の観光地は近年オーバーツーリズムに閉口したではありませんか。街中のホテルもそうなんですが、こうした計画を地元企業でなく東京資本のコンサルティング企業に依頼しているのも、地元民としては納得できません(ちなみに北山橋の西詰に住んでいます)。

そして更なる問題は、植物園の境界をなくして、いつでも自由に行き来できる様にする計画です。北山通りのウバメガシの垣根を切ったり、絶滅危惧種や貴重なエゾノウワズミザクラ等が失われる恐れがあるそうですし、バックヤードも大幅に縮小されるそうです。府立植物園のサイトには「植物園は公園ではございません」と書かれているのですが、自由に行き来できる様になると、もはや公園と同じですよね。コンサートやスポーツ観戦後の観客が帰りに通り抜けたり、ホテルの宿泊客が立ち寄ったり。残念ながらマナーの良い人ばかりとは限りません。

現在入園料は200円、高校生150円、年間パスポートは1000円と安価ですが、有料にすることで人数がある程度は制限され、貴重な植物が維持されている様に思います。約4500品種、2万5千本の熱帯植物を展示する温室などは確かに老朽化しているので、いずれ建て直しの必要はあると思いますが、府立大学の教育研究機能や希少植物の保全機能を軽視する計画には大いに疑問があります。全国の園芸や植物園関係者も危惧しているそうで、見直しを求める住民団体が現在署名活動を行っています。「北山エリア整備基本計画」は京都府知事選挙の争点のひとつでもあるのですが、あまり関心が高くないかも知れません。そんな計画初めて知ったという方の為に京都府のサイトと住民団体のtweetがあったので、リンクしておきます。(モモ母)


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