競技スポーツ化させられる学びと育ち(2)

先々週の木曜日に「競技スポーツ化させられる学びと育ち(1)」という記事を書きました。学びも育ちも本来は、非常に多様なものであるはずなのですが、それがまるで競技スポーツのように均一なものとして認識され、そういう誤った認識のもとに様々なことが行われているのではないかということを書きました。記事の最後でこちらのtweetを掲載しました。


リンク先は読めなくなっているようですが、元の記事である「若手教員の授業を数値で評価へ 大阪市教委、子どもにはアンケート」は有料ですがまだ読めます。記事のタイトルにあるように、次の4月から大阪市では、若手教員の授業を退職した元教員が数値で評価すること、子どもたちからアンケートを取ってその結果も使うことなどが書かれています。そんなことのために元教員を再雇用するお金があるなら、困難のある子どもたちをサポートするために使ってはどうかと個人的には思うのですが、こちらの動画が問題点をわかりやすく語っていました。

教員を評価してランク付けのようなことをするのは、現在ではさほど珍しくなくなっています。給与や賞与などに反映させるところもあります。ちなみに大阪市では、評価結果がこのように公開されています。

 大阪市 
2 教職員の人事評価の状況
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000544596.html
 学校園においては、教職員の能力や勤務成績を正しく評価し、その結果に基づいて人事管理を行うことは、公務能率や教職員の勤務意欲の向上等の観点からも重要です。  教職員の意欲・資質能力の向上と教育活動をはじめとする様々な活動の充実、組織の活性..

ですが、「良い授業」、「良い教師」とは具体的にどういう授業や教師を指すのでしょうか? 競技スポーツの勝者のように、「こういう授業をする教師だ」と決めることができるのかというと、無理ではないかと思います。どんな授業が良い授業であるかは状況によって異なりますし、そもそも教員の仕事は授業だけでもありません。さらに競技スポーツは、すべての選手が基本的には同じ条件でパフォーマンスを競いますが、学校も地域環境も、子どもたちの特性や家庭環境も、千差万別です。
教師への管理と評価の行き過ぎが、子どもたちへのしわ寄せとして現れているという指摘もあります。


次回は、子どもたちの評価および管理についてみていこうと思います。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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