前回から連載記事を始めるつもりだったのですが、ウクライナ情勢の急展開を受けて、予定を変更します。私は国際政治の専門家ではないので、この状況の背景や今後を分析したりはできませんが、少し気になるtweetを見つけたのでした。日本で暮らすロシア系の人々のお子さんが、学校などで「ロシアが悪い」と言われて辛い思いをしているということでした。ではこの問題を学校で話題にしないほうが良いのかというと、そんなことはないと思います。
日本の主要メディアでも少しは報道されているようですが、扱いが小さいのが、ロシア市民による戦争反対の表明です。そんなことを表明すれば、拘束されたり、迫害されたりするリスクが高い中、勇気を出して行動している人たちがいます。強権によって鎮静化されてしまう可能性の高い声だからこそ、世界がその人たちのことを覚えておく必要があると思います。またこのことを伝えることで、学校などでの子どもたちへの説明のニュアンスも大きく変わると思います。
ちなみに私はロシア語は全く分かりませんが、google翻訳を使うと結構読めるものですね。「ロシア語→日本語」だけでは変な訳になるところは、「ロシア語→英語」の翻訳と照らし合わせると十分に補うことができました。
有名人たちが戦争反対を表明している。反体制リベラルばかりでなく、ユーロヴィジョンに出た歌手のマニージャ、人気俳優コズロフスキー、政府よりだったはずのテレビ司会者ウルガント、人気作家のグルホフスキー(『メトロ』)らの名前も。 https://t.co/ZoFnsShY8X
— Yoko Ueda (@yuvmsk) February 24, 2022
続き:
マキシム・ガルキン:「私は早朝からウクライナの家族や友人と連絡を取り合っています。 気持ちが言葉にできない! これはどうして可能ですか! 戦争を正当化することはできません! 戦争反対!"— Junko Nishigaki (@JNishigaki) February 26, 2022
モスクワの中心部を「戦争反対」と言いながら行進する人々の映像もあります。
People marching through central Moscow this evening chanting “No to War!” pic.twitter.com/BTQ3ZOGTan
— Matthew Luxmoore (@mjluxmoore) February 24, 2022
スポーツ選手も。
ロシアのテニス選手が今日の試合に勝った後、テレビカメラに「戦争やめろ、頼むから」のメッセージを書き込む。 https://t.co/T2lVWXH2vQ
— HRK (@on_and_under) February 25, 2022
日本語で読める記事や映像も出始めました。
勇気ある市民たちに心からの敬意と連帯を。
ロシア国内で、戦争に反対する抗議デモ
「プーチンがウクライナを攻撃したことで、多くの人々が今、絶望や無力、恥を感じていることでしょう。あなたの街の広場に集まって『ロシアの人々はプーチンが始めた戦争に反対する』と…https://t.co/Q6gpBo0oMM— FoE Japan (@FoEJapan) February 26, 2022
「モスクワでは数百人が行進し『戦争反対』と繰り返しました。何としてでも声を上げようと。しかしその声は封じられてしまいました。人を逮捕することは出来ても、隣国の侵略を支持しろと強制することは出来ません」「これはクレムリンの戦争なのです」
反戦を貫くロシア市民を孤立させてはいけない。 https://t.co/L2WqiIq7uQ
— 異邦人 (@Narodovlastiye) February 25, 2022
残念ながら、言論弾圧が襲い掛かっています。
写真を見て涙が溢れてきた。逮捕されるのを覚悟で戦争反対の声を上げるロシアの市民。凶暴な独裁者に命がけで立ち向かうその姿に心を打たれる。プーチンがウクライナに侵略したことを後悔するような結末を迎えることを願う。 https://t.co/KhQkPjRZ1z
— 布施祐仁 YujinFuse (@yujinfuse) February 25, 2022
国連は、ロシア政府に対して、侵略戦争を直ちに止めるよう求めるとともに、ロシア国内で反戦デモ参加を理由に逮捕された人を直ちに釈放すること、戦争に反対する市民に対していかなる弾圧をも行わないことを強く要求してほしい。https://t.co/eYTKsMOcbU
— 弁護士神原元 (@kambara7) February 25, 2022
「こうした個別の反戦ピケが、数は多くはないが、ロシア各地で起こっている。参加者のほとんどは直ちに拘束されている。多くの場合、警察は予期していて、家を出る時に拘束される。ここに写っているのはロシア新聞記者労連の共同議長Sofya Rusova だ」
プラカードは「ウクライナとの戦争はロシアの恥」 https://t.co/ippe6yq1zy— Komagome Takeshi (@KomagomeT) February 24, 2022
最後に、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシア市民に向けて、ロシア語で行ったスピーチがあるのですが、それを(英訳を経て)日本語訳しているtweetがありましたので掲載しておきます(下記のtweetをクリックすると全文が読めます)。このくだりが印象的だと思います。「隣人は常に、お互いを文化的に豊かにします。しかしそれは、彼我をまとめてひとつにしてしまうというわけではなく、また、わたしたちをあなたがたへ溶かし込んでしまうことでもありません。私たちには「違い」がありますが、それは私たちが敵対する理由にはなりません。」
もう何日も前のような気がしてしまいますが、ほんの30時間ほど前、ロシアが侵攻を始める直前に、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシア市民に向けてロシア語で停戦を呼びかけたスピーチ(英訳版をNY Timesから引用)を日本語訳して連続ツイートします。#StandWithUkraine https://t.co/Os4J9kChWo
— たられば (@tarareba722) February 25, 2022
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。