4回シリーズでお届けする梶井基次郎の「檸檬」の完結編。いよいよ「私」は丸善の店内に入ります。この作品が発表された1925年（大正14年)当時、丸善は三条麩屋町西入ルにあったそうです。人通りの多い寺町や新京極から少しはずれたその店舗を憶えている人は、おそらく今はもうごくわずかで、多くの人が思い浮かべるのはかつて河原町蛸薬師上るにあったビルではないかと思われます。洋書だけでなく、バーバリーのコートをはじめ「舶来品」などと言われた品の良い服飾品や文具も揃っていました。小説の舞台は三条麩屋町なのに、朗読を聞くと河原町蛸薬師の店舗の様子が懐かしく蘇って来たりもします。2005年の閉店が決まった時は、多くのファンがレモンを置き残していった様で、2015年に現在の京都ＢＡＬ地下に再オープンした際には期間限定で「レモン置き場」もあったとのこと。現在の丸善に併設されたカフェでは檸檬ケーキも楽しめます。多くの人に愛される「檸檬」を令和の今、改めて味わって頂ければと思います。フリーアナウンサー・塩見祐子さんの朗読、真三さんのイラストでお楽しみ下さい。その１はこちらから、その２はこちらから、その３はこちらからどうぞ。