「専門職後見人」というと、なんだかカタいイメージに見える字面かもしれません。そのイメージは弁護士さんや司法書士さんといった、法律の専門家を連想されるからかもしれませんが、社会福祉士も専門職後見人として後見活動を行っています。「福祉専門職の後見人」というと、どのような連想をされるのでしょうか?
さて、私は活動開始から4年目の、専門職後見人をしている社会福祉士です。認知症になられたご高齢の方や、知的障がいがある方、精神障がいのある方など、財産管理や、生活のあれやこれやで意思決定の支援や代行が必要な方をサポートしています。
青年後見人等(法定後見では他に、保佐人、補助人がありますが)は、大きく分けて親族がなる場合と、専門職が就く場合があります。最近ではこれに加え、市民後見人や法人後見なども増えてきました。
私の毎日の仕事では、被後見人さんの様子を伺い、支払いや入金を確認し、生活場面の様々な情報や相談や報告が寄せられます。ご本人さんが連絡をくださる場合もありますし、ヘルパーさんや訪問看護さんや施設の職員さんから連絡が来ることもあります。毎日一緒に暮らしているわけではない中で、ご本人の生活がいい調子で続いているかを知るには、このやり取りは大切です。
最近では、電話だけでなく、メールはもちろん、Lineやその他便利なICTツールを用いて情報のやり取りができるようになり、とても仕事がしやすくありがたいことだと思います。ご本人さんも、スマホや携帯メールが使える方とはLineやメールでやり取りをしています。
成年後見制度の開始は西暦2000年からですが、その頃にはすでにインターネットや携帯端末はかなり普及していました。ですので、固定電話だけでやり取りしていた時代ほどには、ご本人や支援者間での情報伝達は不便ではなかったとは思いますが、しかし、この20年でICTの活用は急激に広まり、また、コロナ禍によりオンライン会議システムも一気に普及し、情報伝達・共有の利便性は一気に高まったと思います。
とはいえ・・・簡単な伝言や数値データなどの情報をやり取りするには、文字ベースのメールや、短文をやり取りするLINEなどで十分なのですが、ときに心の機微を確認したり、微妙なニュアンスのことを理解するには足りません。やはり一番は実際に会うこと、その次には声を聞くことなど、視覚と聴覚を使うことは大切だと思います。オンライン会議システムは、画面上で相手の顔も見えますが、それでもやはり、直接に会ったときよりは情報量が少ないですし、なによりも、生活感や空気感はわかりにくいです。
専門職後見人は、基本的には、事実行為(実際に介護や介助や物理的な支援をすること)はせず、デスクワークが中心なのですが、それでも、ご本人にとって必要な生活の支援を考える際には、生活の中での非言語情報によるものを感じ取ることは大切なのだと思います。
実際は、買い物のサポートや、できる範囲のちょっとした介助は行いますし、料理を一緒にしたり、一緒に散歩に出かけたりと、やっていることは多岐にわたっています。そのための連絡も、LINEやメールが使えると、いろいろと便利です。
これからも、デスクワークでできる部分は、ICTを大いに活用して便利に。また、気軽に使えるコミュニケーションツールは、日々の連絡やコミュニケーション用に便利に使う。しかし、やはり、大切なことを考えたり決めるときには、実際に会うことが重要!なのだと思います。
コロナ禍で、いろんなものが遠隔でできるようになっていますが、時と場合を考えて、その時に必要な方法を選び、使っていきたいと思います。