車椅子での外出をスムーズにするには、玄関にスロープが必要だと思うかも知れません。でも介護保険で住宅改修の補助が出るのは、例外はあるものの原則一回きり。金額の上限は20万円ですから、玄関に補助金を使ってしまって良いかどうか、よく考える必要があります。と言うのも、実際には改修工事をするよりも、これまでお話しして来たような福祉用具を使った方が良い場合が多く、改修をする場合でも福祉用具とセットで考えた方が、使いやすくなります。脊髄損傷など固定した身体機能の方の場合は、その人に見合った住宅改修をすれば十分機能するけれど、高齢者の場合は体の状態も変わります。上手く改修出来れば良いのですが、玄関にスロープを設置しても勾配が急だったり、不適切な設置の仕方をしてしまうと、逆に危険な場合があります。又、他の家族にとってはスロープが邪魔な時もあります。
家から道に出ることを考える場合、スロープが一般に思い浮かぶのですが、出るのは玄関からとは限りません。玄関前に数段の階段がある家が多いので、それより例えばリビングからガレージに出られるなら、ガレージに昇降機を置いた方が、車椅子でスムーズに下りることが出来ます。どこから出るかは工夫次第。絶対にスロープを付けて玄関から、ということではないんです。どこから出て、どんなものを使うかを考えると、福祉用具は主にレンタルなので使い勝手が良く、状態が変われば別のものに借り換えられますし、不要になれば返却出来るので、とても便利です。
※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄や介護に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。