今年は少し早く梅雨真っただ中の時期がきました。ここのところの連日の雨に、洗濯物も乾かせず、うんざりです。じめじめしていると、気分も少し疲れたように感じます。
さて、最近特によく耳にし目にする言葉に、『ヤングケアラー』があります。若いという意味のヤングに、介護や世話をする人という意味のケアラーと言う言葉をくっつけたこの言葉は、文字通り、若く幼くして介護や世話をする人・子どものことを意味しています。
厚生労働省が発表した「ヤングケアラーの実態に関する調査研究について」(https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000767891.pdf)では、令和2年末ごろから令和3年1月にかけて行われた調査の結果をみることができます。
ニュースでも取り上げられていましたが、中学2年生では17.5人に1人の割合で「世話をしている家族がいる」と答えています。もちろん、乳幼児の妹や弟がいる場合には、いくらかは世話をすることがあるでしょう。しかし、この「家族がいる」の家族とは、乳幼児の弟妹や介護が必要な祖父母だけでなく、母や父を世話している場合も含まれています。
ヤングケラーの話をすると、「昭和のころは、子どもの面倒を見るのはアタリマエだった」とか、「上の子が下の子の子守をしていた」「家事も子どものころからたくさん手伝っていた」という言葉を聞きます。もちろん、令和の時代にも、子どもが幼い弟や妹の面倒を見るのは良い経験にもなるでしょうし、家事の手伝いは将来の子どもの自立に向けても役立つことでしょう。しかし、その内容や質、所要時間は、今の時代の子どもたちの生活や心理を考慮し、子どもたちの成長に負荷にならないよう考える必要があります。昭和のころに子ども時代を過ごした大人が、当時のアタリマエ視点で今のことを判断するのではなく、今の子どもたちが置かれた状況をまず理解する必要があるでしょう。
ヤングケアラーは、主に18歳未満の児童で、家庭において家事の主力を担っていたり、妹や弟、祖父母、父母など介護や介助の必要な家族メンバーの世話をしている人のことを指します。もちろん、ヤングケアラーへの支援を考える場合には、もう少し上の年齢までカバーして考える必要があるでしょう。ヤングケアラーが行っている世話や家事の程度にもよりますが、中には、家での家事労働の時間がながく、そのために家庭学習ができなかったり、十分に体を休めることができず日中に起きていられず登校や仕事ができなくなる場合もあります。精神的に不安定な家族メンバーの相手をする場合、特に父母の精神的ケアを含むと、子どもの心は傷ついてしまうこともあります。
ヤングケアラーの支援には、当然に、ヤングケアラーが世話をしている人たちへの直接支援を考える必要があります。また、ヤングケアラーが担っている家事を軽減する工夫も必要です。その工夫を家庭内に取り入れてもらえるような取り組みも必要です。「家族のことは家族で」「家族の恥を外に出さない」というのは、多くの家庭で考えられ、それゆえに、外からの支援が入りにくく、結果としてヤングケアラーの課題が大きくなってしまうものです。
最近では、神戸市でヤングケアラーの課題に専門的に取り組む部署が立ち上がるなど、福祉の人材を活用して、ヤングケアラーの支援に乗り出しています。しかし、ヤングケアラーへの支援は、福祉専門職や行政だけが行うものではありません。
地域住民の一人ひとりが、地域の課題としてとらえ、外へ助けを求めることが気兼ねなくでき、必要な支援を気後れすることなく受けられるよう、それが必要であり当然である、と、しっかり認識することが大切です。
今、住みやすい街を作ろうとすることは、未来の自分が住む街をより良く作っていることにもつながります。みんなで、今から先の未来まで、安心して暮らせる社会をつくっていきましょう!