想定はしていたものの、近頃の新型コロナウィルス感染者数の増加は、まだ本格的な冬が来ていない状況では、まだまだ先への不安は募ります。
私は、防災と福祉を考える機会を持ち、今年で3年目になります。過去の2年と比べ、今年の最大の課題は「感染症リスクと避難」を考えなければならないことです。そこに「福祉」の視点も備え、誰もが命を守れる社会を作ることが必要です。
災害への対策は、例えば自然災害なら台風・洪水・高潮・土砂くずれ・地震などの災害を引き起こす自然の現象(ハザードといいます)により異なります。また、避難そのものは、避難しない場合、避難所へ避難する場合の、避難の決定と行動と、避難所等での生活について、それぞれを考えることが必要です。
感染症の防止も考慮した避難や災害対策は、やはり事前の想定や準備が、いざという時にものを言うはずです。備蓄する物品、逃げる時の持ち物、避難所での感染防止対策、避難所での場所の割り当ては、いざという時に備えて事前に想定しておくことが大切です。
地域社会において、福祉の視点は、防災を考える際に取り入れられることはめったにありませんでした。しかし、行政が災害時に支援を必要とする高齢者等の名簿を作り把握することが義務化されてから、地域で暮らす多くの支援が必要な人たちの支援には、地域の力が不可欠であるとの認識も広がってきています。さらに、その支援を実現するためには、「災害時個別支援計画」を考え、前もって地域の中で共有し、訓練や確認を行い、いざというときに備えることが必要です。
感染症対策ができるようにすることも、全ての人が命を守り、難を逃れられることも、どちらも、備え・事前の準備が大切です。
これまで、防災に関する福祉的な視点は、高齢者等の避難行動に支援ニーズがある人を対象としていた感がありますが、感染症防止への意識と行動が必要な今では、より一層、地域社会のみんなで防災を災害対策を考え、お互いに感染防止と必要な助け合いを意識する必要があるでしょう。
私も、平和で穏やかな冬になることを祈りながら、できる備えを行い、すべき備えを考えていきたいと思います。みなさまも、引き続き、手指の消毒、マスクの着用などの感染防止策を取りながら、心は温かい冬をお過ごしいただけますように。