リフトを選ぶ時はまずどんな本体を選ぶか、これまでご紹介したようにベッドサイドに固定するものや床走行リフトなど、いろんなタイプがありますから、どんなリフトをどんな目的で使うのかを考えます。そしてリフト本体と体につけるスリングシート(吊り具)がセットになってうまく使えるものなので、どちらかがどんなに良いものでも、うまく合っていなければ使いにくいことになります。「自宅のお風呂に入りたい」等の目的に合わせて選ぶことが大事ですし、目的に合っていないスリングシートを使うのは危険です。
そして何よりその人の身体機能を考慮しないといけません。シートで頭まで支えないといけないのか、肩から下で良いのか、座ることが出来るのか、首がすわっているか、ベッド上で装着しやすいか等、体の状態に合わせて選ぶ必要があります。リフト本体は介護保険でレンタルできますが、スリングシートは特定福祉用具の購入になります。身体状況は悪化したり、リハビリ等で改善したりと変化しますが、おおむね頭まで覆わない4点吊りのオーソドックスなものが使いやすいと思います。
リフトを使う時は使う人も使われる方も初めてなので、お互いが使い慣れること、そのために練習をすることが大切です。最初は操作が面倒に思うかも知れませんが、自信がつくと良いので、使いこなすまで練習してみましょう。どんなに介護技術がある人でも毎日の作業で腰を痛めたりもしますから、割り切って機械を使った方がずっと楽です。ある施設で導入したら職員の離職率が下がって施設長が喜んでいました。家庭でも目的と身体機能に合ったリフトの導入を考えてみましょう。
※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄や介護に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。