時の流れは速いもので、今年度も後半がスタートしました。10月。秋も深まり、紅葉の落ち着きながらも鮮やかな色合いが広がり、景色を楽しめる季節。自然は人間の心に、さわやかな風を吹き込んでくれるものです。
しかし、一方で、自然には恐ろしい面もあります。
ここ数年、台風や長雨による洪水で、多くの人が犠牲になられています。そして、その犠牲の多くは、避難に援助が必要な高齢者や障がい者です。一方で、洪水には襲われたものの、人的被害を出さなかった地域もあります。被害が高齢者等に集中する原因は、様々にあると思いますが、いずれにしても解決するためには、避難とその準備を行うことに尽きる思います。つまり、発災時の時にキーとなる地域の防災・災害時対策に関する動きと、高齢者等の支援について、地区の防災計画や取り組みを確認しながら、高齢者等ご本人の個別支援計画を作ることが必要です。
私は、災害時の個別支援計画を作る兵庫県の事業に関わり3年目になりました。高齢の方のうち、避難に援助が必要な方の支援計画立案につき、そのベースとなる情報を持っているのはケアマネジャーさんや相談支援専門員さんです。一方、災害についての知識や避難に関するノウハウを握っているのは、例えば地域の自主防災組織であったり、行政の危機管理担当部署であったりします。災害が起こった時、パワーとなるのは地域の隣近所や自治会であるため、人とのつながりは自治会の役員さんや、民生委員さんが頼りになります。災害時の個別支援計画では、ご本人、居住地域の住民のみなさん、日ごろの福祉の支援者、行政の福祉担当と危機管理担当が一堂に会し、話し合うことが大切です。
しかし、実際のところ、そもそもの「自治体の福祉担当と危機管理担当が意思疎通を図る」ということは難しいと感じることがあります。つい先日、「縦割り110番」という言葉が登場しましたが、何も福祉や防災に限らず、縦割り110番に知らせたいことは、さまざまなことをきっかけに思いつきます。部局を横断して考え取り組むことは、縦割りが当たり前だと想像以上に難しいのでしょう。
大分県別府市では、障がい者の災害時個別支援計画を作成する取り組みとして、行政の防災と福祉が連携しています。その要となっているのが、コミュニティーソーシャルワーカー(インクルージョンマネジャーと呼ばれる場合もある)とのことです。主要な複数の部局をつなぎ、また、当事者や専門職と地域をつなぐ役割を持つ人がいる事で、これまで縦割りで動いていたものが、横につながり、みんなに広がり取り組むことにつながっています。
「つなぐ」という人、その気持ち、それを実行することは、大切ですね。
まだまだ台風や水害が心配な季節は続き、また、地震もいつ起こるかわからない昨今、柔軟な仕組みの中で、人々が力を合わせて、今後起こりうる出来事に対処していく必要があります。災害時個別支援計画の作成も、その一つ。私たちが、さまざまな立場や関係性の枠を少し緩めて、相互理解を深めることで、より一層のベストが尽くせる気がします。
防災だって、そうです。災害が起こっても、誰一人取り残されない社会を目指して、つなぎ合ってまいりましょう。