暑い日が続いていますが、8月も終盤ですね。勤務校では春の授業開始が遅かったので、8月24日まで授業がありました。後期は10月1日からですが、大学によっては9月半ばころから授業が始まります。地域によって違いはありますが、Covid-19の感染拡大が収まる気配がないので、後期になってもオンライン授業が様々な形で継続することになると思われます。ちなみに私の勤務校は大阪市内ですので、楽観的な希望は持ちにくい状況です。
この状況は海外でも同じで、中にはこれをきっかけに大学のあり方が変わるのではないかという指摘もあります(下の逸見先生のツイートの続きを見るには、右上のハトマークをクリックしてください)。
アングル:米大学新入生、オンライン授業でキャンパス遠く https://t.co/7BT7byqmMw
— ロイター (@ReutersJapan) August 18, 2020
コロナ後の大学の変容に関するルモンド紙の興味深い記事。伝統的な対面授業が遠隔教育に切り替われば、社会人への門戸もさらに開かれ、学生はみずからのリズムに合わせ、より能動的な幅広い多様化した教育を受けられることになるだろう。一方、高額の授業料を徴収してきた従来の英米式大学モデルや私立 https://t.co/IHaUen0oVJ
— Hemmi Tatsuo (@camomille0206) August 19, 2020
学校は再開しているのに、なぜ大学は再開できないのかという指摘が寄せられることは少なくないのですが、現実には難しいと思います。大学と学校ではクラスターの発生しやすさが異なる上に、県境を越えて長距離を通学してくる学生の比率も多いです。
良まとめ。>数百人、数千人以上の学生が広範囲から通学し、100人以上が一斉に「密」な状態で大教室に集まり、かつキャンパス内で頻繁に移動が起こり大勢とすれ違う、そんな場所は大学以外に存在しない。 / 大学のキャンパス再開が難しい理由と、政府に求められる大学支援 https://t.co/EAI4CirIfg
— KIMURA Syuhei (@syuhei) August 21, 2020
他方で、経済的な理由などが原因で、退学や休学を検討するなど、悩んでいる学生が少なくありません。上の記事にもありますが、授業料の他に、遠隔授業を受けるためのパソコンなどの機器やネット環境を自宅に設けるための支援も必要です。
学生たちが様々な形で声を挙げたりしています。京都関連のツイートをあげておきます。
立命館大学新聞が19日、発表。「どうするか考えている」7・5%、退学を視野に入れている学生は計9・8%。休学を視野に考えている学生は計25・6%。対面授業や課外活動が制限された上、学費への不満や経済的な不安が大きいことが背景にあるとみられる。https://t.co/9zb9Hcaa2l
— 石川康宏 (@walumono0328) August 20, 2020
【拡散希望】
8/30(日)17時から京都三条河原町でリレートークを開催します!
コロナ禍の学生の実態をぜひお聞きください!#FREE京都#学生に予算を#一律学費半額#SaveAllStudents3密回避のためオンライン参加をおすすめします pic.twitter.com/9iXYDORYmq
— FREE京都@高等教育費無償化 (@FreeKyoto) August 22, 2020
大学生のお子さんを抱える家庭では、年間200〜300万程度の費用がかかるところも。
・給付型奨学金をもっとつくって欲しい
・せめて教育費は月1万くらいにしてほしいリアルな声、政治に届けます。
簡単にできるアンケートなのでぜひご協力ください(๑˃̵ᴗ˂̵)https://t.co/JXB9rNNple— LDA-KYOTO (@ldakyoto) August 20, 2020
一方で、声を上げることもできずにいる学生さんもおられると思います。スクールカウンセラーの碓井先生の記事を紹介します。退学などの重大な決断を下す前に、大学に相談をしてください。大学に入構できなくても、電話やメールでの相談窓口があるはずです。どの大学も、学生に退学をしてほしくはないと思っています。探してみると、支援策があることもあります。なかなか一人では探せませんから、まずは所属している大学に相談してほしいと思います。
コロナ 退学決める前に相談を#Yahooニュースhttps://t.co/j1WAptdsmc
— 大学フォーラム (@univforum7) August 23, 2020
コロナ、退学の前に相談を:ご意見ご質問に答えて(碓井真史) – Y!ニュース https://t.co/eQCvLwdupA
— 全大教(全国大学高専教職員組合) (@zendaikyo01) August 23, 2020
なお、過去にクラスターが発生した大学では、学生や教職員への差別が行われたり、脅迫が寄せられることもありました。
天理大学生がアルバイト先から「やめてくれ」と不当な扱い 複数が訴え(毎日新聞)#Yahooニュースhttps://t.co/2y5xMWplij こういうのを「差別」って呼ぶのだと思うけどねえ。オレたちはいつでも人を差別できるし「差別しなければならない」とすら信じている
— 増田聡 (@smasuda) August 19, 2020
大学は学生の出入りを制限したり管理したりして、感染者が出たとしても、その人からの感染可能性の範囲が特定できるように工夫をしています。大学は大きな組織ですから(中規模大学の大阪市立大学でも、学生院生教職員を合わせると1万人ほどになります)、関係者を一律に「感染者だ」とみなすことは、ほんとうにやめていただきたいと思います。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。