守られない自死報道のガイドライン

昨年の4月ですが、薬物使用で有名人などが逮捕される事件の報道に関するガイドラインについて紹介しました(薬物依存症についての誤解と報道)。有名人の自死もニュースになりやすいですが、自死の報道についてもガイドラインがあり、WHOが定めています。


ガイドラインの内容を解説している動画もあります。


残念ながら現状において日本の報道は、このガイドラインを守っているとは言えないように思います。専門家によるメディアへの申し入れも行われているのですが。


遺族の方の声もあります。


報道が変化しない背景には、自死・自殺についての誤解も多いのかもしれません。「自ら望んだことだ」という誤解です。実際にはそのようなことはほとんどないと言われています。


今月に入ってからも有名人の自死報道がありましたが、上で紹介した荻上チキさんの番組を除くと、相談先の紹介をしていたものを私はみませんでした。もちろん全部の報道を見てはいませんので、他にもあったかもしれません。しかしガイドラインを守っている報道は、低い確率でしか存在していないのではないかと思います。
相談先一覧が掲載されているサイトを2つ、紹介しておきます。
「いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)」


こちらは厚労省による相談窓口一覧です。

こんな情報もありました。


相談先を知っておくことは重要ですが、電話がなかなかつながらないということも言われています。十分な予算が投入されておらず、人手が足りていないのです。メディアの報道のあり方から、自死を防止できる社会のあり方まで考えさせられるように思います。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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