川村輝夫の映画情報~「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」

ルイザ・メイ・オルコットの自伝的小説「若草物語」を実写化したドラマ。
南北戦争下の姉妹の物語を、作家を夢見る次女の視点で描く。
監督は『レディ・バード』などのグレタ・ガーウィグ。『レディ・バード』でガーウィグ監督と組んだシアーシャ・ローナンとティモシー・シャラメ、『ファイティング・ファミリー』などのフローレンス・ピューのほか、エマ・ワトソン、メリル・ストリープらが出演する。

《あらすじ》
しっかり者の長女メグ(エマ・ワトソン)、アクティブな次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、ピアニストの三女ベス(エリザ・スカンレン)、人懐っこくて頑固な四女エイミー(フローレンス・ピュー)、愛情に満ちた母親(ローラ・ダーン)らマーチ一家の中で、ジョーは女性というだけで仕事や人生を自由に選べないことに疑問を抱く。
ジョーは幼なじみのローリー(ティモシー・シャラメ)からの求婚を断って、作家を目指す。

おテルは、少年時代女性が主人公の小説は読まなかった。
何故? それは、男の子だったから。
大人になってから、それらを読んで女の子の世界を知ったわけですが、この「若草物語」もつい先日、昔に映画化されたものを見たところです。
この新作は、G・ガーウィック監督の脚色により物語やキャラクターにさらなる深みが加わっています。男性優位社会における女性の生き辛さや女性の自立に欠かせない経済力の重要性を打ち出したフェミニスト映画として、素晴らしい作品です。
“マーチ家の長男”を自称する元気なジョーを演じたS・ローナンが素晴らしい、彼女に負けないのが末っ子エイミーを演じたF・ピュー。原作では美貌自慢のおバカななのに、今度の映画は現実を見据えて思慮深い大人へと開花していく少女となっています。
オルコット女史が行間に潜ませた思いを読み取った監督の手腕で、150年以上前の物語が現代に鮮やかに蘇って見事です。
★★90点★★


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