謹んで新春のお慶びを申し上げます。
社会福祉士の森保純子です。今年もよろしくお願いいたします。
さて、今年はカレンダーの並びから、1月3日を迎えた今日も「まだあと2日もお休みがある!」という方が多いのではないかとおもいます。私は自営業社会福祉士なので、お休みはあってないようなものですが、成年後見等で担当する利用者さんにとっては、医療機関や役所が長期間休業するこの時期は、不安なものです。当然、後見人等で担当する私たちも平穏に年末年始が過ぎることを祈り、どこか気持ちが休まらない気がしています。
成年後見制度は2000年から、介護保険とともにスタートしました。今年で20年です。しかし、いまいち広がっていない状況で、各市町では「成年後見制度利用促進事業」が進められ、今年もまたより一層の利用に向けて、制度が必要な方へ届くような取り組みが続けられることでしょう。
実際のところ、使いやすい制度かと考えると、利用の準備から家庭裁判所への申立て、利用中のことに関してもさまざまな課題はあるように思います。
【あるある!?話 その1】
携帯電話やスマートホンはずいぶん前から、かなりの人が利用するツールになっています。しかし、認知症等の進行により、携帯電話を持っていても使えないようになることがあります。場合によっては、携帯電話を持っていたことも分からなくなり、携帯電話端末も行方不明になり、電話番号も分からず・・・。後見人等になり、通帳からの引き落としを確認して「あれ?携帯電話の契約があるんですね」ということが判明することがあります。
私が実際に体験した話ですが、成年後見制度での「後見人」として、使ってもいない携帯代が毎月数千円引き落とされるのを止めるため、解約の手続きに携帯電話ショップに出向いたことがあります。成年後見制度での後見人等の立場は「後見」「保佐」「補助」の3類型があり、「後見」は医療同意などの一部を除き、包括的に代理して契約行為を行うことができるものです。立場を証明できるものは、「後見人」が記載された登記簿謄本原本と私自身を証明する身分証です。それをもって、ショップへ行ったところ・・・
「契約はありますか?」 →あります
「あなたはどなたですか?」 →成年後見人です
「それを証明するものはありますか」 →あります
「端末はありますか? SIMカードは? 番号は?」 →ありません、わかりません
「利用明細とかの郵送物は」 →ありません
「契約者の身分証は?」 →ありません
「本人は来れますか?」 →これません
「本人は電話できますか?」 →できません
残念ながら、ほとんどがないない尽くしだったのですが、当然、本人の名前や生年月日、住所はわかるわけですから、契約の有無は割り出せ、電話番号なども分かる状態になります。解約の希望を申し出たところ、最終的に「ご本人の身分証明書をもってきてください」ということになりました。そう思われると思って用意していた金融機関では身分証がわりになるものも、代用不可ということで・・・とほほほほ。
身分証明書は、おそらく大半の人が運転免許証や保険証などで提示できるものですが、中にはそのような身分証を提示できない場合もあります。残念なことに、私のケースでもその場では持ち出せる身分証が用意できなかったので、長い時間をかけて話をしていたのですが、身分証が絶対に必要!ということで、その日は帰りました。何のために成年後見人が代理として契約関連の手続きをしに行っているのか…。慎重に本人確認をすることは大切だと思いますが、成年後見制度がなぜあるのか、それを使っているということはどういう状況であるのかという理解は、社会にはまだまだ不足しているように思います。
また当然、一つ一つのやり取りに、「確認してきます」が入り、都度都度待つことになります。ショップでも似たような対応はあまり機会がないらしく、店員さんがいろいろと細かくあちこちに確認しているようで、時間がかかります。あぁ、数時間が・・・。
その間にも、携帯電話の基本料はかかっています。
後日、必要な書類を持って出直しましたが、また少し時間がかかり、結局携帯電話を解約するという作業だけで、延べ半日以上の時間が過ぎていきました。
携帯電話の契約だけが残っている場合は特に、本人でなければ解約するのはなかなか手間がかかるものです。だからといって、解約するのが大変なので使わないという本末転倒になる必要はありません。むしろ、これからの時代はICT機器が使えることは強みにもなるので、年齢問わずスマホなどを持たれることに私は大賛成です。ただ、人生には何があるかはわからないもの。何かあった時に自分で備える方法としては、携帯電話等契約に関しては、以下の三つをお勧めします。
①引っ越ししたら携帯契約の住所も変えましょう (旧住所のままだと、場合によっては戸籍を取り寄せて以前の住所地の確認が必要)
②スマホ等は離さず身につける癖をつけておきましょう
③自分の電話番号は財布に入れるなどして、分かるようにしておきましょう
おまけ 自分の身分証は、大事に所持しておきましょう
新年も、皆様にとって健康で幸せな一年となりますように。