川村輝夫の映画情報~「レディ・マエストロ」

20世紀に活躍した女性指揮者アントニア・ブリコの半生を描く伝記ドラマ。
女性は指揮者になれないと言われていた時代に生まれたブリコが、懸命に夢を追う姿を映す。
監督と脚本をマリア・ペータースが担当し、クリスタン・デ・ブラーン、ベンジャミン・ウェインライトらが出演する。
劇中ではマーラーの「交響曲第4番」、ストラヴィンスキーの「火の鳥」をはじめとする数々の名曲が使用されている。

《あらすじ》
1926年のアメリカ、ニューヨーク。指揮者になることを夢見るオランダ系移民のアントニア(クリスタン・デ・ブラーン)は、ある事件で音楽学校を退学になってしまう。
その後アメリカを離れたアントニアは、ドイツのベルリンでやっと女性に指揮を教えてくれる師と出会うが、レッスンに没頭する彼女にさまざまな困難が立ちはだかる。

話題の音楽映画が多い今年、今作は、最も見て欲しい作品の一つ。
女性の社会的立場が現代よりも格段に低かった1920年代に「指揮者になる!」という夢を追い続けた音楽界のパイオニア、A・ブリコの情熱とパワーに圧倒される実話だ。
女性であるがゆえに味わう屈辱や差別も描かれ、女性としての連帯意識が芽生えるだろう。
時代こそ違うが、愛とキャリアの狭間で悩む姿に共感する女性は多いはず。
彼女をサポートした友人の描きかたもとても今っぽく、世間になかなか受け入れられないアウトサイダーの偏見と無縁の思考こそが時代を切り開くと思わせる。
今でも、音楽教師のセクハラが横行しているというから、恐ろしい。
クラシック音楽界の旧弊さは、現在もそんなに変わっていないように思う。
★★90点★★


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