介護を受けている人の尿量を測ると、その人がいつ頃トイレに行けば漏れないだろうとか、間に合うだろうといったタイミングの把握につながって来ます。トイレまで行けなくても適切なタイミングで尿瓶や採尿器を使う、ポータブルトイレを利用するなど、いろんな排泄手段を考えられるので、おむつで排尿しなくても済むようになって来ます。その意味でも飲んでいるもの、飲んでいる量、排尿の間隔を知ることは大事です。
男性は前立腺肥大症だと尿は勢いよくは出ないで、症状が進むとチョロチョロとしか出ないといったことが起こります。膀胱にはおしっこが残っていて、そのためまたすぐにトイレに行ったりもします。トイレ回数や尿量の記録が、病気の発見につながります。このように排泄日誌というのは、自分の飲んでいる水分の見直しであったり、トイレに行くことを考えてみたり、頻繁に漏れがあるならその原因を探る機会になります。泌尿器科医は排尿記録を必要としますから、泌尿器科を受診する前に排泄日誌を最低三日間はつけるようにしましょう。
寝たきりでおむつを使っているため尿量が測れない場合は、濡れたおむつと乾いたおむつの差が尿量になります。何らかの理由でどうしてもおむつしか無理な場合でも、いつ頃交換すれば、その人がお尻まわりが濡れていない状態を維持できるかがわかります。排泄してすぐにおむつを交換すると良いのですが、換えたすぐ後に出して、2~3時間ずっとそのままだと、どうしても蒸れる状態が続くことになります。ですから排尿を記録するのは、おむつ交換のタイミングがわかることになりますし、出ているのが一回分とは限らないので、こまめに確認して、頻繁に排尿していることが分かれば、病気の発見にもなります。排泄記録は介護される人の体のためにも大事なものなのです。
※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。