競争入札で学習支援事業が混乱

学習支援事業とは、貧困や家庭不和など様々な理由で学習に取り組みにくい子どもたちのために、提供されている学習の場です。NPOなどが自治体からの委託事業として取り組んでいることが多く、大学生がアルバイトやボランティアで子ども達の勉強を見ていることもあります。
詳しい説明がこちらにありました。

さて、埼玉で実施されてきた学習支援事業が混乱しているというニュースがあります。


「さいたまユースサポートネット」というのは、若者支援で有名なNPOです。


ここが担ってきた学習支援を、競争入札で「安く」落札した業者が新学期から担うことになった。けれども引継ぎなどができずに4月になっても学習支援が実施できないなどの混乱生じているということです。市議会の議員さんが調査に乗り出しているようです。


なお5月に入って続報もあります。
埼玉新聞の元記者の冨田かおりさんのフェイスブックから引用します。
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【怒りを通り越して悲しくなった話】

しんどい家庭の子を支える学習支援事業。大手家庭教師派遣会社に委託先が変わり約束通りの4月に開設できないという混乱の中、教室運営があまりに心配で様子を見に行ってみた。
行ってみたら……。
個別描写をするのは控えるけど、ダメだこりゃ。
ネクタイ背広の中年男性がややもすれば威圧的とも感じられる声音で「まずはテストをしてもらいます」
私が女子中学生だったらもう来ない。
役所幹部の皆さんも現場を見たほうがいいよ本当に。これでいいの?
子どもたちにひとつの笑顔もなかった。
そして終了時刻の20時。
教室には子どもたちひとりもいなかった。
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このようなことは目下、全国各地で起きているとのことです。
学習支援事業のような取り組みの委託先を、競争入札で簡単に決めてしまうことには問題がいくつかあります。
競争入札では「安かろう悪かろう」な業者が「実績稼ぎ」のために落札してしまうことがあります。自治体等からの委託事業を行っているという実績は、社会的信用の証として使うことができます。
また、学習支援事業のような取り組みでは、子ども達との継続的な関係作りが大事なのに、競争入札で業者やコロコロ変われば、子どもも落ち着いて学ぶことができません。学習支援事業はただ勉強を見ているだけではないのです。家庭や学校に居場所のない子ども達の支えになっている場所でもあるのです。
なお、さいたまユースサポートネットによるコメントがこちらから読めます。

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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。