川村輝夫の映画情報~「バイス」

ジョージ・W・ブッシュ政権下で副大統領を務めたディック・チェイニーを描く社会派ドラマ。アダム・マッケイ監督、クリスチャン・ベイル、スティーヴ・カレルをはじめ、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のスタッフ・キャストが再び集結。ベイルは大幅な肉体改造を行い、チェイニー副大統領にふんした。エイミー・アダムス、サム・ロックウェルらが共演している。

《あらすじ》
1960年代半ば、酒癖の悪い電気工ディック・チェイニー(クリスチャン・ベイル)は、恋人のリン(エイミー・アダムス)に激怒され、彼女を失望させないことを誓う。
その後、下院議員のドナルド・ラムズフェルド(スティーヴ・カレル)のもとで働きながら政治のイロハを学んだチェイニーは、権力の中に自分の居場所を見いだす。
そして頭角を現し大統領首席補佐官、国防長官になったチェイニーは、ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)政権で副大統領に就任する。

原題の「VICE」は、単独では「悪」「悪習」「悪徳」などの意味ですが、接頭語として「VICE」を用い、「vice-president(ヴァイスプレジデント )」とすると「副社長」「副理事長」および「副大統領」の意味となります。
第43代アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュの下で副大統領を務め、「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と呼ばれたディック・チェイニーを描く。
酔いどれの大学生が、ホワイトハウスの中枢で権力を振るうようになるまで。同時多発テロで誰もが衝撃を受ける中、それを“チャンスだ!”と思えるほど、権力に固執するチェイニーの恐ろしさ。彼はもちろん、無能な大統領も、チェイニーの尻を叩く妻もコワい。

演技派俳優陣の抑えた演技は、こんな人間が少し前まで大国を動かしていた現実をリアルに伝え、今もさほど変わらない状況であることを匂わせるのがコワイ。ブラックコメディですが、ある意味ホラー映画ともいえるでしょう。
★★85点★★


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