高齢期と歯
「8020運動」という言葉をご存知ですか。80歳のときに自分の歯が20本以上残っているように、元気な歯を維持しましょう!ということです。毎日の歯磨きだけでなく、定期的な歯のチェックも欠かせません。私事ですが、筆者の祖母は99歳で亡くなるまでほとんどの歯が残っていて、表彰されました(*^^*)。歯が元気だと、口から食べることができ、栄養も行き届きます。元気で長生きする秘訣、さらに認知症の予防にも「歯」のケアは欠かせないと言われています。
要介護者の約9割は何らかの歯科医療が必要なのに受診は27%
問題は、自分で歯のケアができる間はいいのですが、心身の衰えや要介護状態になり、しっかりと歯の管理ができなくなったときです。ある調査では、「要介護者の約9割に何らかの歯科医療が必要であるにもかかわらず、実際の歯科受診を行ったのは27%にとどまっている」とあります。自分の口から食べることだけでなく、口腔内の衛生環境を維持しないと、菌の繁殖や肺炎にも繋がります。命を守る大切な手段でもあるのです。
口腔ケアは本当に重要
昨今では「訪問歯科」として、自宅まで歯科治療にきてくれるところもあります。筆者も以前「訪問歯科」に同行させてもらい、「歯医者さん」に行くのとほとんど変わらず、自宅のベッドの上で受診できることにびっくりしました。携帯型の小型レントゲンもあります。老人ホームでも訪問歯科と連携している施設が多くあります。自分の歯でも入れ歯でも、お手入れ次第で生活の質が大きく変わります。あきらめず、高齢期の歯の管理をしたいですね。
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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2016年独立。