終末期医療ACPの前に

先週末のNスペで「シリーズ 人生100年時代を生きる」放送していました。1日目はお年寄りが安心して暮らすための「終の住処」について、2日目が「終末期医療」について。終末期についてはACPが紹介されていました。ネットでACPを検索すると「将来起こりうる病状の変化に備えて、医療従事者が患者と家族とともに、患者の医療上の希望、生命維持治療に対する意向、医療に関する代理意思決定者の選定などを行うプロセスを指す」とあり、日本医師会の報告書でもその重要性が述べられています。

命の終わりとどう向き合うかは難しい問題ですが、番組内でACPを実践する様子を撮した映像が、とても気になりました。認知症で寝たきりの高齢女性のかかりつけ医が家族に在宅で看取るための話し合いをしていて、出来るだけ救急車は呼ばずに(在宅での看取りを希望しても家族が救急車を呼ぶと、搬送先の病院では延命治療をすることになります)かかりつけ医に連絡するように伝えていました。番組は好ましい例として紹介していたのですが、そのやりとりが患者さんの傍で行われることに疑問を感じるのです。病院であれば、こうした話は家族を別室に呼んで行われます。在宅の場合、重度の認知症で会話が難しい場合、本人に聞かせて良い話なのか、認知症の人は何もわからないのでなく「ぼけても心は生きている」のですから、不安にさせたり心理的な影響を与えるのではないかと思うのです。一方、軽度でまだ終末期が差し迫ってない場合、「患者さんの意思が一番大事」であれば、説明は家族でなく患者に対して行うべきです。

私事ですが、父の訪問診療が必要になった時、初日に来られたお医者さんは血圧などのバイタルチェックは看護師任せ、父と言葉を交わすことも顔を見ることもなく、私とだけ話をして処方箋を書いて帰って行かれました。予後を父の傍で話す無神経さに、この先生とはやっていけない、変更は早い方が良いと病院に連絡して担当医の変更をお願いしました。次に来られた年配のお医者さんは認知症の父に具合はどうかと尋ね、「ほな、帰りますわ」と挨拶して帰られましたし、詳しい体調の確認や薬のことなどは父の傍で私に尋ねられましたが、予後や終末期のことなどシビアな話は部屋を出て玄関でする配慮がありました。犬好きで飼い犬の相手をしたり、暮らしの中に入って来て下さる感じでした。ACPはもちろん大切ですが、患者本人とのコミュニケーションや暮らしの中の医療を軽視しないお医者さんにお世話になりたいと思っています。(モモ母)


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