高齢期の暮らしと住まい(40)

災害は高齢世代に一段と厳しい

昨今の立て続けに起こる自然災害に、多くの人が無力感を感じているのではないでしょうか。災害のたびに「想定外」という言葉が発せられますが、もはや「想定外」における内外のボーダーラインはあってないようなもの、と思わざるを得ません。自然災害は、台風や大雨のように事前にある程度予測される場合と、地震のように予測不可能な場合があります。今回の北海道の大地震は夜中の3時過ぎに起こり、ほとんどの人が睡眠中であり、山崩れなど一瞬の出来事で避けようがなかったといえます。被災に年齢は関係ないものの、被害者はいつも高齢者が多くなります。心身ともに、高齢者には自然災害のリスクは非常に高いといえます。

 

台風21号の暴風

台風21号は、関西エリアを直撃でした。雨はそれほどでもないのに、今まで体験したことのな暴風に慄いた人がほとんどでしょう。筆者は自宅(マンション)にいましたが、窓ガラスが割れるのではないかと恐怖を感じ、カーテンを閉め窓から離れていました。報道では、マンションの8階への飛来物が窓を突き破り、中にいた人に直撃、死亡されたとか。この風の中、どうしても仕事に出なくてはいけない人もいたかと思いますが、「ちょっと外の様子」を窺うつもりが、大怪我につながるケースもありました。他にも「まさか?!」と思うような映像が衝撃的に報道されました。特撮ではない日常生活の破壊に声も出ません。

 

正常性バイアスを意識する

鉄道や航空、店舗なども早めに「運行停止・閉鎖」などを予告するようになりました。台風21号の恐るべき破壊力にもかかわらず、人的被害が拡大しなかったのは、早めの対策で予防できた功績が大きいのではないかと感じます。自治体などでも「躊躇せず避難行動を」と呼びかけます。ついつい「大したことはないだろう」「自分はきっと大丈夫」と思ってしまうのが正常性バイアス。でも、被災された人のほとんどは「まさかと思った」「自分は大丈夫だと思った」と言われます。徒労に終わるかもしれませんが、「あのとき…」と辛い結果になるよりは、「何もなくてよかった」と言えるほうがずっといいはずです。自然災害、侮れません。

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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2016年独立。

 


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