街のカナリア その1 のばら珈琲–隠れ家カフェの映画会–


西陣の住宅街。意識しないと通り過ぎてしまいそうな狭い路地の奥でひっそりと営業している「のばら珈琲」。「エイギョウシテイマス」と書かれた小さな看板を確認し、心ときめかせて扉を開けると、セピアの空間が広がっています。オーナーの菊川さんが集めた大正から昭和初期のアンティーク家具が映える洋間の窓には、冬は毛糸で編んだカーテン、天窓にはステンドグラスも施され、2010年のオープンなのに、もうずっと昔からあったようなたたずまい。ステレオからはジャズを中心にした音楽が流れ、居心地の良さに長居をしてしまうお客さん続出です。一人で訪れる常連さんやカップル、旅行者など客層はさまざま。さらに進むと手前スペースとは趣の異なる和室もあって、こちらはおしゃべりを楽しむグループ客に重宝されています。

のばら映画会ノォト

珈琲、紅茶が350円、自家製のお菓子はドーナツ150円から、フードはバタートースト200円からとリーズナブル。野菜はなるべく京都近郊で採れたもの、夏季限定のいちごのかき氷(570円~)は5月に作っておいた苺のシロップを使った自然な甘さが魅力です。

狭い路地を進むと・・・

そんな隠れ家カフェとしてファンの多い「のばら珈琲」が、2017年2月から無料の映画会を始めました。「福島の原発事故から6年。いろいろわからないことがあるのに、テレビを見ていても、知りたい情報は得られないように感じています。驚くことに日本の報道の自由度は昨年度で世界72位になってしまったそうです。日本、そして世界の状況は私には疑問だらけですが、今、起こっている事をよくみること、歴史を知ることが大切なんだと思い始めました。もっと知る機会を増やして、他の人達とも共有できないかなぁと考える中で、のばら珈琲で映画会を開いてみることを思いつきました」と案内に書かれています。

これまでの上映作品は「東京原発」や「Z」「グッドモーニングバビロン」「だれのものでもないチェレ」等。当初はドキュメンタリーや社会問題に取り組んだような作品をと考えていたそうですが、昔のお洒落なフランス映画など、幅広く上映していきたいとのこと。映画通の常連さんが企画に携わることもあり、オーナーの日頃の思いから始まった試みは、回を重ねるに連れて広がりを見せています。

■のばら珈琲
京都市上京区上立売通浄福寺西入る蛭子町655
075-406-0274 11時30分~19時  月・火休
※「のばら映画会」は第1土曜19時~ (第1以外の土曜の場合もあります)