先日水路でシジミを見付けてからシジミのことがよく気になる。農業を始めた頃「四里四方の物を食え」という言葉も思い出した。四里と言えば徒歩での行動範囲だ。生活圏内の気候風土で育ったものが体にも適しているという考えに基づく。食の偏りや風土病といった懸念もあるが、概ね正しいと思っている。そこであのシジミが気になった。縄文時代の遺跡には、貝塚が付き物だ。貝塚の名の通り色々な物が出て来るが、圧倒的に貝殻が多い。生活圏の近くで取れるシジミやアサリが太古の人々の食を支えていたことは間違いない。今や食べ物は、狩猟採取から農耕飼育に移り、工業的な製造加工になり温めて食べるだけになった。身近にシジミを発見しながらそれを取って食べるというごく当たり前のことを行動に移さないでいる。何故そうしないのか色々と考えを巡らせている。
時間が有れば、水路の元になっている川でシジミを探してみたい。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。