「沈黙の艦隊」「ジパング」などのかわぐちかいじのコミックを原作にしたミリタリーサスペンス。波留間群島の一部占領を受け、現場に向かう航空機搭載護衛艦の乗組員の運命を多角的に映し出す。監督は『沈まぬ太陽』などの若松節朗。『MOZU』シリーズなどの西島秀俊、『超高速!参勤交代』シリーズなどの佐々木蔵之介らが出演。日本の置かれている状況を反映したドラマに引き込まれる。
《あらすじ》
20XX年。日本最南端沖で国籍不明の漁船20隻が発砲を開始し、波留間群島の一部を占領して海上保安庁の隊員を捕らえる。日本政府は、航空機搭載護衛艦いぶきをメインにした艦隊を派遣。お互いをライバルとして意識してきた航空自衛隊出身のいぶきの艦長・秋津竜太(西島秀俊)と海上自衛隊出身の副長・新波歳也(佐々木蔵之介)は、この未曽有の事態を収束しようとする。
このタイトル「空母いぶき」だけで、これがコミックの実写版であることを、瞬時に見極めるのは、ちょっと困難でした。それだけ今の日本においてセンシティブな題材を扱った映画だと、言えるでしょう。日本がアジア某国から侵略を受けるという不測の事態が発生し、空母いぶきを旗艦とする自衛隊の護衛隊群が敵と対峙するというテーマがですから。本作も少なからず食い足りない部分はあるものの、改めて平和憲法の価値と意義を問うストーリーはかなり頑張っています。
また、強さと弱さを兼ね備えた人間味溢れる高潔な総理大臣を演じる佐藤浩市は見事で、現実のリーダーもこうあって欲しいと思わせられます。
★★85点★★