福祉用具や高齢者のためのグッズは実際に使ってみると便利なのに、使うのに抵抗を感じる人があります。例えば杖が嫌だという人が多いですね。膝が痛いのに頑として持つのを拒否したり、家族も本人が嫌がるなら持たなくて良いと思うようです。友人にも杖嫌いがいましたが、股関節を痛めた時にカタログを送ったら、とても可愛いピンクの杖を選びました。その杖を持っていると「可愛い杖ですね」とよく言われるそうで、「杖がこんなに良いとは思わなかった」と言っていました。「杖」というとどうもイメージが暗いのですが、今は種類が豊富でオシャレなものがいっぱいあります。転倒して骨折すると寝たきりの原因になりますから、歩行に不安がある時は安全に長く歩き続けるためにも杖を持つことを考えてみましょう。
杖に限らず、オシャレな介護用品がたくさんあります。日本の福祉用具は世界の中でも優れたメーカーが多く、20年前なら「車いすはやはりスウェーデンやデンマークが良いな」と思っていたけれど、今は優れた国産の車いすが増えています。実際に福祉用具のカタログを見ると良い商品がいくつも載っています。でも小さなメーカーはテレビでどんどん宣伝できるわけではないので、その情報が広く届いておらず、なかなか認知されません。暮らしを快適にするものがあるのに、言葉だけで敬遠しがち。まだまだ偏見があると感じます。

※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。