台風の爪痕
一年中で一番寒い時期を迎えている。この冬が、暖冬だという事を忘れている人も多いと思う。しかし露地野菜の生育は一ヶ月程度早く進んでしまったし、用水路に氷が張った日も記憶にない。台風で倒壊したハウスが撤去され露地となった畑は、作付けされないままの所も多い。へしゃげたパイプがそのままで枯れた夏野菜が放置されている所もある。日頃目一杯働いている農家には、マイナスから立ち上がる事の厳しさが現れている。家もこの冬は、ハウスにビニールを掛けられないまま過ぎてしまった。今後も台風の大型化や豪雨など、気象現象は激しさと頻度を増すと予想される。ビニールハウスが無いと真冬の作付けなどには影響があるが、廃棄プラスチックによる環境汚染が問題にもなっている中、農業も大量の石油製品に支えられている。無関心では、居られない。
草引き
野菜の収穫が終わるとその下に隠れていた雑草が顔を出す。これを放っておくとみるみるうちに雑草に覆われてしまう。寒いから成長が遅いと気を抜くと痛い目に遭う。小さな雑草も抜き取ってみると地上部の何倍もの根が土の中に隠れている。これを抜き取るには骨が折れる。冬の間寒さに耐え、見えない所をしっかり成長させておく雑草の生き様は、見習わなければならない。しかし、除草剤の登場でそんな戦いに終止符が打たれた。辛い仕事から解放されるが雑草から学ぶことも無くなった。有機農業をしているとそんな事を再発見するが、手ごわい草を抜いていると腱鞘炎の痛みも付いて来る。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。