「カナリア俳壇」131

今年は梅の開花が早いなと思っていたら、突然の大雪。天候に翻弄されていますが、皆さんもどうぞ健康第一でお過ごしください。

△雪晴や遥かに伊吹嶺黄金色     ゆき
【評】中七が字余りですね。「遥かに」を省略し、「遠伊吹」という語を使ってみましょう。漢字が6つ続くと読みづらい気もします。漢字が続くのは多くても4つくらいと覚えておきましょう。「雪晴や黄金色なる遠伊吹」。

△~〇風の笛踏みて二度鳴く霜柱    ゆき
【評】初読のとき、風の笛を踏んだのかと思ってしまいました。上五でしっかり切りましょう。「風強し踏みて二度鳴く霜柱」。

△~〇初硯年を重ねて写経する     作好
【評】「年を重ねて」とは「高齢になったが」という意味でしょうか。できるだけ具体的な描写を心がけましょう。「初硯なじみの経を横に置き」など。

△白かぶや赤かぶ色に染まりけり     作好
【評】切れ字「や」と「けり」の併用はご法度です。白かぶが赤かぶ色に染まったのですね。ならば「白かぶが赤かぶ色に染まりけり」とすればすっきりします。

◎冬ぬくし赤前掛けの霊狐塚     瞳
【評】即物具象のお手本のような句です。大変けっこうです。

△~〇初午や一筆書きの墨絵馬     瞳
【評】下五が字足らずですが、もしかすると「墨絵絵馬」の打ち間違いでしょうか。

△一輪の白梅咲きし今日の朝     美春
【評】「一輪の白梅」といえば「咲きし」は要りませんね。「今日の朝」と5音使うのももったいない気がします。「今朝」で済みますので。「一輪の白梅今朝の裏庭に」などもう一工夫してみてください。

△開くる毎白梅開き数増せる     美春
【評】「開くる毎白梅開き」とはどういうことでしょうか。とりあえず「数へたるたびに白梅数増せり」としてみました。

△~〇落日の終の寸陰鬼やらひ     徒歩
【評】「終の寸陰」とは、簡単にいうと、日が山などに完全に没してしまう前の一瞬、ということでしょうか。その一瞬と「鬼やらひ」の関係がわかりませんでしたが、わたしなりに解釈して「落日のしばし留まり鬼やらひ」と考えてみました。

〇料峭や正座の似合ふ京の人     徒歩
【評】寒くてもさすがに京都の人は凛としている、という感じでしょうか。「京の人」のイメージをもう少し鮮明にし、「料峭や正座崩さぬ京をとめ」としてみました。

△~〇膝さする凍える両手も強張りぬ     白き花
【評】中七が字余りではありませんか。「膝さすり凍える両手強張りぬ」。

〇一杯のコーヒー凍てた指ほぐす     白き花
【評】概ねけっこうですが「凍てた」という口語を文語にし、「一杯のコーヒー凍つる指ほぐす」とすれば、より詩的になります。

◎のどけしや赤前掛けの狛狐     妙好
【評】形もしっかりと整った即物具象の句でけっこうです。わたしなら「前掛け」の「け」は省きますが、このへんは趣味の問題ですね。

〇総身にひたと張り付く寒四郎     妙好
【評】寒四郎を擬人化し、疫病神の類としてとらえたのですね。作者の意図が分かりすぎてしまいますので、ここからさらにその意図を消せると面白いかもしれません。たとえば「総身の影地にひたと寒四郎」など。

〇静もりし漁港の隅に猫の恋     恵子
【評】大体けっこうですが、「隅に」の「に」が消せるといいですね。一例として「静もれる漁港の外れ猫の恋」。

〇ねこやなぎ映る川面に手を浸す     恵子
【評】「映る」「浸す」と動詞が二つあると説明調になります。「手を浸す川の碧さよ猫柳」など取合せの句にするのも一法でしょう。

〇待春や鯛石踏んで法隆寺     万亀子
【評】なかなか調べのよい句ですが、上五と中七で切れているのが気になります。上五を「待春の」とする手もありそうです。

〇斑鳩の五重の塔や六花     万亀子
【評】形としては落ち着きのある句です。もう一つ突っ込んだ写生がほしいところですが、とりあえずけっこうです。

△~〇だうだうと豆撒く妻の鬼遣らひ     永河
【評】「だうだうと」は「堂々と」としたほうが分かりやすいと思います。「豆撒く」と「鬼遺らひ」の季重なりも気になるところです。別案ですが、「豆撒きの妻鬼よりも堂々と」と考えてみました。

△~〇立春の韻は軽快飴を噛む     永河
【評】「立春の韻」が日本語表現として不自然ではありませんか。俳句は素直に作るのが一番です。とりあえず「立春や飴軽やかにかみ砕き」としておきます。

〇生姜湯に匙遊ばせて一人の夜     智代
【評】「遊ばせて」は、手慣れた俳人が好んで使う措辞の一つですが、月並調になるので真似しない方がよいと思います。「生姜湯に銀のスプーン一人の夜」など、もう一工夫してみてください。

△~〇たをたをと尾ひれ揺らせり冬目高     智代
【評】「冬目高」という季語が手持ちの歳時記に載っていませんが、用例はありますか。とりあえず無難に「寒明や目高の尾鰭ひと揺れし」としておきます。

次回は3月3日(火)の掲載となります。前日2日(月)の18時までにご投句いただけると幸甚です。河原地英武

「カナリア俳壇」への投句をお待ちしています。
アドレスは efude1005@yahoo.co.jp 投句の仕方についてはこちらをご参照ください。


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