カナリア倶楽部でも何度か話題にしていたことがありますが、滋賀県での「不登校になっても孤立しないまちづくり」をめざしたプロジェクトに参加しています。休眠預金活用事業の1つで、学校に行きづらい子ども達が通うフリースクールを中心に、地域の人々みんなで子どもや若者の育ちを保障していこうという取り組みです。
そのプロジェクトの成果をまとめた書籍「地域がつくる子どもの居場所(サードプレイス)」が晃洋書房から出版されました。また、年明けの1月31日土曜日には記念シンポジウムが、大津市で開催されます(会場で書籍の販売もあり、割引価格で購入していただけます)。
「不登校」と呼ばれる状況にいる子ども達の数は増え続けています。不登校に至る前の「行き渋り」や「休みがちの状態」を加えれば、その人数は非常に多いです。
教育行政は「コロナ禍を経て学校を休ませることへの心理的ハードルが低くなった」ことを理由に挙げることが多いようですが、実際にはそんな単純な話ではありません。この本では、増え続ける不登校の背景を深堀しつつ、不登校状態にある子ども達やその保護者を支えているフリースクールが果たしている役割等についても考えています。日本の社会は「学齢期の子どもは全員、平日昼間は学校に行っている」ことを前提に、すべてが作られています。そのためひとたび不登校になると、子ども自身にも保護者にも、様々な困難が生じます。何とかならないのだろうか?と思う方々に読んでいただきたいと思って、この本を作りました。
さて本日の記事が、今年最後に私が執筆する記事になりました。今年は日本学術会議法の変更もあり、学問の自由の破壊が進行しつつあることについての記事を多く書きました。学問はすべての人のもので、学校や大学はそれを、子ども・若者に伝えていく大事な役割を担っていると思います。しかし残念ながら、教員不足や学費値上げに象徴されるように、学校も大学も満身創痍状態です。子ども達が伸び伸びと育つことのできる社会をどうやったら取り戻せるのか、来年もひきつづき、一人でも多くの人と一緒に話し考えたいと思います。良いお年をお迎えください。
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