自民党の総裁選に立候補している茂木氏が子ども食堂に視察に行き、子ども達と一緒にカレーを食べて、誕生日祝いのケーキまで出してもらったことをきっかけに、政治家の子ども食堂視察時の行動について、ネット上での議論が盛り上がっています。
様々な事情で十分な食事ができない子ども達のための場所なのに、政治家がその食事をもらってしまうとは何事かという意見があります。過去にも同様の行動をして批判を受けた政治家は他にもいます。その一人である国民民主党の玉木氏は、「子ども食堂は貧困家庭の子どもだけを対象にするわけではない。仮にそうしてしまうと、貧困家庭の子ども達がそれを恥だと思ってきづらくなってしまう」という主張をして、茂木氏の行動をかばっていました。
さらに、自民党の鈴木貴子氏が、「子ども食堂は地域住民の交流の場所だから、誰でも行って良いのです」という主張を展開し、これに対して子ども食堂を運営している人たちから、「子ども食堂を必要とする人を増やしてきた政治家が何を言っているのか」、「資金確保にも人手確保にも苦労しているのに!」といった多くの声が上がっている状況です。
滋賀県で、子どもの孤立をなくすまちづくりをめざすプロジェクトのお手伝いをしているので、子ども食堂はある程度身近です。「食事が食べられない人、来てください」という呼びかけ方では、困っている子どもや保護者の人たちが行きづらいのは事実なので、それぞれの食堂が様々な工夫をしています。そのひとつとして、「栄養不良になる子どもを救う」ことではなく、「子どもや保護者の孤立を解消する」ことを目的に掲げて、地域の人々の交流の場にすることを意識的に打ち出しているところがあるのは事実です。とはいえ、玉木氏や鈴木氏の呼びかけには違和感を感じます。なぜなのだろうか…と、自問自答してみました。
私の推測ですが、茂木氏も玉木氏も鈴木氏も、わかっていないのだと思います。家庭で食事が食べられない子ども達のしんどさのことも、食事を用意してあげられない保護者のつらさのことも、「何とかしたい」と立ち上がったものの少なくない困難に直面している子ども食堂運営者の苦悩のことも、わかっていないのでしょう。「貧しい人たちのために献身している人々は素晴らしい、応援します」という表面的な理解でしかないのではないかと思います。
そもそも、茂木氏にせよ玉木氏にせよ、なぜ子ども達が集まっている食事時間帯に視察に行ったのでしょうか? 子ども食堂のことを知りたいなら、子どもたちがいない時間帯に、運営している人たちの話をじっくり聴くのが一番有効です。子ども食堂を運営している人たちが感じている苦労や、子どもや保護者に関する様々な心配事、政治家に考えてほしいことは、子どもたちの前では言いづらいでしょう。華々しいところにだけ姿を見せて、表面だけを見ているから、ズレた言動をしてしまうのだと思います。
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見に行く前に聴きに行くべきだったのではないかと…(政治家の子ども食堂視察)
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