近年夏の葱が非常に育てにくくなってきた。年中お店に並ぶ葱だが本来夏が苦手だ。京都では葱と言えば細長い緑の葉の付いた九条葱だが暑い夏の間は、特に小さなアザミウマと言う虫が付き葉がカサカサになってしまう。葉をきれいに保つために農薬使用頻度も多い。株元の白い部分は膨らみ大きな辣韭の様になる。夏にここに養分をためて暑さを凌ぎ秋にまた新芽を伸ばし旬を向かえる。この性質を利用して京都の農家ではカサカサの葱を干し葱にしてから植え直して秋から冬にかけての九条葱を栽培してきた。しかし、近年暑すぎる夏を葱が、持ち堪えられずお盆の頃に枯れてしまう。でも田中農園では伝統的な栽培法方法を続けている。そこで秋に収穫するために育てている葱を枯れてしまう前に緑の葉の部分を切り落としアザミウマの被害のない部分を九条葱の白ネギ風として商品に出来ないかと思った。葱の無駄を減らせるし需要も有るだろう。夏に九条葱の出荷は、無理だと思っていたが、白ネギ風にすることで無農薬の夏の九条葱を提供出来るのではないかと考えた。変わりゆく自然に出来るだけ負荷を掛けない様に生活も変えて行こうと思う。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。