鹿児島県トカラ列島近海の地震が気になります。7月3日には十島村で震度6弱の地震が観測されました。4日には希望する住民の方が悪石島から避難されるようですが、今後の生活の不安も大きいかと思います。残られる方も安全や今後のことに不安を持たれていると思います。速やかな安全確保と今後の生活への必要な支援について国・行政が整えていくことが大切だと思います。
さて、日本には災害時やその後の復興、または事前の防災に関して、いくつかの法律があります。この度、2025年5月28日に災害対策基本法等の改正が成立しました。要支援者の避難支援について2021年には個別避難計画の作成の努力義務化がなされました。しかし、そこから4年間の間にも大きな災害は繰り返され、特に令和6年の能登半島地震では避難所に行かず、自宅やその周辺で避難をされた方が多くいらっしゃいました。これまで、災害発生時には避難所へ行くことを前提に救助や支援が考えられていましたが、この度の改正で支援の幅が広げられました。
そもそも、これまで、災害が起こったときに救助を行うための法律である災害救助法には、「福祉」は入っていませんでした。災害救助法の第4条では救助の種類が列挙され、医療と助産は記されていますし、食品や水、被服、寝具などの提供や、住宅の応急修理や学用品の給与、埋葬なども記載されています。しかし、人々の生活を支援する「福祉」は入っていませんでした。この度、やっと、被災者に対する福祉的支援等の充実のため、「福祉サービスの提供」が追加されることになりました。災害対策基本法にも明記されます。
災害が起こったときには、非日常の経験となり、これまでの続いていた毎日が突然に大きく変わることになるでしょう。しかし、その中で私たちは生活し、暮らしを再建し、日常を取り戻す活動を続けることになります。その日常生活というのは、個人個人で様々な形で求められるものでしょう。災害発生後の生活においては、それ以前から何らかの生活上での支援を得ていた人だけでなく、様々な人が様々な形で暮らしの支えが必要になります。このたび、災害対策基本法や災害救助法に「福祉」が取り入れられたことは、今後、より多様な場所で多様な方法で暮らし続ける方へ、福祉の支援を届けることにつながります。
大きな災害がないことが一番です。しかし、自然の猛威は様々な形で現れ、私たちの生活は一瞬にして奪われることがあります。そのために、事前に備えておくことと、制度やルールについて知っておくことが大切になります。
これから猛暑酷暑の日々も続きます。事前の備えと、日々の出来る範囲での対応を行って、毎日の生活を続けていきましょう。蓄えておきましょう。飲み水を持っておきましょう。無理しないで休憩をしましょう。気象庁の発表やニュースの天気予報に耳を傾け、確認しましょう。デマに惑わされずに落ち着いて見て聞いて判断することも、立派な備えにつながります。
