憲法第41条 第98条1項 第99条

「日本国憲法」の朗読第5弾の第2回は、第4章「国会」から第41条、第10章「最高法規」から第98条第1項、第99条です。この3つを続けて聞くと、国会の地位と国会が制定すべき法律、国会議員等が負うべき義務がよくわかります。解説は京都法律事務所 弁護士の小笠原伸児さん、朗読はフリーアナウンサーの塩見祐子さん、イラストはかしわぎまきこさん、動画の再生時間は1分16秒です。

《第41条、第98条第1項 、第99条解説
日本国憲法は、この国の権力を立法権と行政権と司法権の三権に分けて、国会と内閣と裁判所という国家機関に担わせており、憲法第41条は、立法権を行使する唯一の機関が国会であると定めています。そうすると、憲法によって組織された国会が、憲法によって与えられた立法権を行使するわけですから、国会が立法権を行使して成立させる法律が憲法に適合していなければならないことは当然のこととなります。
このことを、憲法の最高法規性という観点から述べているのが憲法第98条1項です。国会が憲法に反する法律を制定したとしたら、その法律は無効となります。
このように、国会の成立させる法律が憲法に適合していなければならないとすると、国会を構成する国会議員は、憲法に適合する法律を議決すべきであって、憲法に適合しない法律を議決してはなりません。その意味で、国会議員は、法律に憲法適合性を付与すべき職務上の法的義務を負っているのであり、ある法律をどうしても議決しようとするのなら、修正などをして、その法律に憲法適合性を付与しなければなりません。
憲法第99条は、国会議員には憲法を尊重し擁護する義務があると定めていますが、国会議員のこの憲法適合性付与義務は、法律を議決しようとする際の、国会議員の憲法尊重擁護義務の具体的なあらわれです。
皆さん、法律が憲法に適合していなければならないのは当然だと思いますよね。ところが現実には、明白に憲法に違反している法律を議決する場面があります。集団的自衛権の行使を容認する安保法制法が強行的に採決された2015年9月19日がその場面でした。
憲法尊重擁護義務や憲法適合性付与義務を負っている国会議員には、法律は憲法に適合していなければならないという当たり前のことを自覚して行動してほしいと思います。

※次回は6月1日(日)に第16条を公開予定です。


Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/canaria-club/www/wp-content/themes/mh-magazine-lite/content-single.php on line 21

Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/canaria-club/www/wp-content/themes/mh-magazine-lite/content-single.php on line 30