カナリア倶楽部でも何度か紹介してきた東京大学の学費の値上げが発表されました。
「藤井輝夫総長は会見で、学内での手続きが順調に進めば、9月末までに最終決定できる見通しだとした。(中略)学生の意見を反映できた案を作成できたとして、再度総長対話を行う予定はないとも明言。」https://t.co/xLBuw12yzx
— 法念 (@honen_kofi) September 11, 2024
最終決定はまだですが、東京大学内外から反対の声も上がっています。
【拡散希望】
大学執行部、学生、そしてすべてのみなさんへ。
9月10日、東京大学執行部は記者会見にて、またしても学生を置き去りにした学費値上げ案を発表しました。独裁的な発表について、私たちは最も強い言葉で非難を表明します。
声明は全7節です。どうか最後までご一読、拡散ください。
(1/7) pic.twitter.com/CoojMNxnre— 学費値上げ反対緊急アクション (@no_raise_ut) September 10, 2024
【授業料値上げに関する緊急声明について】
本会より発表しました「授業料値上げに関する緊急声明」について、ツリーに画像形式で簡潔にまとめさせていただきました。ご確認ください。(1/4) pic.twitter.com/j0NHFhJaFh— 東京大学教養学部学生自治会 (@todaijichikai) September 12, 2024
東大以外の国立大学や私立大学の学生からも反対意見が表明されています。
#学費値上げ反対 pic.twitter.com/YRdzAV53R7
— 学費値上げ反対全国学生ネットワーク (@no_raise_net) September 14, 2024
#学費値上げ反対 pic.twitter.com/on4rh9nki5
— 学費値上げ反対全国学生ネットワーク (@no_raise_net) September 14, 2024
この件に関連して、3点書きたいと思います。
1.反対している学生は自分たちのことだけを考えているのではない
私は学生時代に大学の自治寮に住んでいました。自治寮なので学生が寮運営をしていました。入学したばかりの頃に4年生の先輩から聞いた言葉で強く印象に残っているものがあります。
「大学から寮費の値上げを求められたりしたとき、『それくらいの値上げなら払えるから良いか』と思うかもしれないけれども。私たちの後輩で、私たちよりももっと経済的に厳しい人が入ってきたときのことをしっかりと考えて、大学と交渉しないといけない」
何年か前に社会学者の上野千鶴子さんが、東大の入学式で、「東大に入学できたと言うだけであなたたちは恵まれている」という発言をして話題になりました。もちろん東大にも苦学生はいます。差別を受けがちなマイノリティの人たちもいます。けれども、東京大学に入学できたということは、生まれつきの頭の良さがあったり、低所得家庭であったとしても親が学問に理解があったりするなど、恵まれていることがある。そのことを自覚しないといけない。
今声を上げている学生達が、上野さんの祝辞を念頭に置いているかどうかは知りませんが、彼女・彼らは自分達の後に東京大学をめざす後輩のため、また(東大に続けて学費値上げをするであろう)全国の大学の学生のために努力しているのだと思います。
2.確認書の存在
ネット上には「学生に意思決定に参加する資格はない」という意見が散見されますが、そんなことはありません。学校でも児童会や生徒会があり、学校に対して意見を言うことができますし、学生も大学に対して意見を言うことができます。
また東京大学には、1969年に大学側と学生代表との間で結ばれた、10項目26か条の「確認書」があります。この文書で大学は、学生や院生も権利を持って大学の自治に参加する「全構成員自治」の原則が確認されています。91%の学生が反対している学費値上げを強行する大学の姿勢は、確認書違反と言わざるを得ないかと思います。
東京大学大学院教授の本田由紀さん(@hahaguma)がコメントしました。
【視点】欧米では大学に学生の自治組織(student union: SU)があることは当たり前で、キャンパスにはSUの建物があり、SUの執行部は選…
「東大確認書」が問う大学の姿 大学運営、担うのは誰?欧米では?https://t.co/hOECO8rBwN
— 朝日新聞コメントプラス💬多彩な視点を記事にプラス (@asahi_comment) September 9, 2024
3.物価高騰との関係
物価が高騰しているのだから仕方ないという意見も散見されます。しかし国立大学は、バブル崩壊以降のデフレが続く中でも、学費を値上げし続けていたのです。平成17年以降は一部の国立大学を除いて据え置かれてきましたが、平成の前半の間の値上げ分を値下げしてからでないと、今般の物価上昇を言い訳にはできないと考えます。
国立大学学費。下記URLの図と同じ。
1970年代まで現代の価値に直して十万円程度で推移して来たが1980年代からその価値自体が上昇。しかしこれができたのはバブルだったからではないか?https://t.co/tlsXltKu1l pic.twitter.com/xfcTn6T19X— おきさやか(Sayaka OKI) (@okisayaka) September 13, 2024
こちらの中村先生の見解が参考になると思います。
東大の総長や理事も、きっといろいろ外堀埋められて心ならずもこうしたに違いない、といったんは考えてみるのだが、説明が「まったなし」だとさすがに…。こっちは概論の授業で「『まったなし』とかいって教育改革しようとする人はすぐには信じないほうがいい」と毎年言っちゃってるんですけど。 https://t.co/i0VRKZEybm
— 中村高康 (@tnk4210) September 10, 2024
さて、東大が値上げを発表したその日、OECDは日本の教育への公費支出の少なさを指摘する報告書を出しています。東京大学もその他の大学も、学費を値上げして学生にしわ寄せをするのではなく、教育への公費支出の拡大を要求するべきであろうと思います。
日本政府の教育関連費割合、ワースト3位 36カ国中、OECD報告 https://t.co/e97mPVEHMa
日本は、教育への公的支出が国際的にみて少ない――。そんな報告書を、経済協力開発機構(OECD)が10日、まとめた。
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) September 10, 2024
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