Weekend Review~「高円寺純情商店街」

,ねじめ正一の「高円寺純情商店街」を読みました。乾物屋「江州屋」の息子・正一の目を通して語られる乾物屋や商店街。上得意先の結婚式場小津会館が引き出物用の鰹節の納入先を日本橋の老舗に変更するかも知れないという江州屋にとって一大事が起こったり、江州屋の隣の空き店舗が駅前の植松化粧品店の改装中に仮店舗になって界隈が華やいだり、眼鏡屋が火事になって商店街の人達が消火に尽力したり。京都も出町や大手筋、三条会など活気ある商店街がありますが、東京は人の数が多いからか駅前商店街がもっと活気ある様に感じます。大学生になって東京に住み始めた80年代、どこの駅前商店街でも女性の声で店を紹介するアナウンスが流れているのが、印象に残っています。アナウンスはもうないかも知れないけれど、この小説に描かれている様な商店街は今も、あるいは最近まであったのではと思います。でも店先に蠅取紙がぶら下がってたり、金魚の入った用水桶が商店街にあったり。そうした描写から昭和30年代と思われるけど親戚のもりちゃんの部屋に「水色の恋」のレコードを借りに行くということは40年代でしょうか。ちなみにねじめ正一の実家の乾物屋は昭和41年に廃業して、民芸店になったそうです。
読みながら、近所の商店街にも化粧品店が2軒あったなぁと店内の様子と店員さんのことを思い出しました。1軒はぬいぐるみやファンシーグッズ等、子供向けの商品も扱っていて、そこでパンダとスヌーピーのぬいぐるみのどっちを買うか迷って、スヌーピーを買いました。それ以来、ピーナッツの漫画にハマったけど、あの時パンダを買っていたら、ランランとカンカンのファンになってたかもと懐かしく思い出しました。小説には出てこないけど、商店会加盟店の「福岡テーラー」にはショーウィンドーに紳士服地がぶら下がってると書かれてて、ああ、紺やグレーの服地を並べた仕立て屋さんってあったなぁと思ったり。
色々思い出したりして基本的には楽しく読んだんですが、ちょっと気になったのが、正一の友達が全然出て来ないこと。隣の魚屋のケイ子や銭湯の番台に小学校の同級生だった宮地さんが座っていたりと女の子は出て来るのに、男の子が出て来ない。店の手伝いがあるから友達と遊ばないんでしょうか。それと母親とばあさんが化粧品の話で盛り上がったり、仲良さそうに描かれてて、表面的にうまくやってるだけで実は確執があるのか。あるいはホントに嫁姑が関係良好なのか。良好なら、それは嫁である母親がすごい努力してるってことですよね。でも父親の描写に比べて母親はあまり突っ込んで描かれてなくて、ああ、男の子の目線ってそうなんだなぁと思ったのでした。(モモ母)


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