東京大学の学費値上げ問題に関連した記事を今回も書きます。値上げ反対の声が大きくなってきたためか、正式決定の時期が先送りになったようです。
授業料増、入試要項と同時の発表見送りへ 東大、学内の反発に配慮か:朝日新聞デジタル https://t.co/uHwC2NYbyE #
来年度の大学院学費値上げはひとまず阻止されそうな空気です。しかし学部の学費値上げはどうなるか?
運営費交付金に対する政府の政策変更を呼びかけていきましょう— おきさやか(Sayaka OKI) (@okisayaka) July 3, 2024
大学院入試要項の発表に合わせた値上げ決定はできなくなった(=大学院授業料は来年度は据え置かれる)が、秋ころをめどに正式決定して、学士課程の入試要項発表には間に合わせたいと考えているのかもしれません。
ここまで頑張ってきた学生たちのグループは、これを1つの勝利ととらえつつ、引き続き署名活動などを行っています。
【ありがとう】
粘り強い学生・教職員らの #学費値上げ反対 は、ここに一つの勝利をおさめました。
2万人を超える賛同とともに、この歴史的な日を迎えられ嬉しく思います。
東大の検討を撤回させ、学費値上げの波を止めるべく、大学及び国に訴え続けます。#学費を上げるなhttps://t.co/dgxKrYOxCt— 学費値上げ反対緊急アクション (@no_raise_ut) July 3, 2024
私のところにも賛同署名の依頼が来たので、次のことを書きました。
どの大学であろうと授業料の値上げは、国際人権規約の高等教育の漸進的無償化に反することです。政府は国立、公立、私立を問わずに交付金・補助金を拡充して、学費値下げに努めるべきです。その上で、次の2点を申し添えたいと思います。
1つは、値上げとセットで添えられる「経済的支援」についてです。奨学金等を充実させると、言い訳のように添えられますが、どの程度のものが用意されているのか不明である上に、低所得世帯の子女や親に頼れない青年にとって、それは十分なものではないのです。
自分自身もそうでしたが、経済的支援を受けながら学ぶ場合、若い人たちの成長の糧になるような様々な挑戦や冒険がやりづらくなります。無事に支援を受け続けて借りたお金を返すためには、確実に成績が取れること、確実に学位が取れること、確実に就職ができることが何より優先です。広い世界を見ることよりも、社会課題の解決に挑むことよりも、挑戦的な研究をすることよりも、「確実な成果」を積むことができる選択を、日々していくしかないのです。現在よりも多くの学生がこのような状況に追い込まれることは、当人にとっても社会全体にとっても大きな損失です。
2つめは、「東京大学の学費よりも、地方大学や低所得世帯の子女の進学が多い高等教育機関の学費軽減を優先するべき」という主張についてです。東京大学に進学できる学生は、経済的に恵まれていることが多いと言われます。経済的に恵まれていない場合でも、子どもが学ぶことに対して親が理解しているなど、さまざまに恵まれていることが多いわけです。そしてそれらに恵まれていない人たちは、もっと厳しい条件下で学んだり働いたりしているのだから、そのことを何とかするべきという考え方です。
私自身も地方出身ですし、私の両親が(お金はなくとも)学問に理解があったのも事実で、こういう意見は重要だと思っています。しかし実際のところ、東京大学の学費値上げを進めようとしている勢力は、地方大学の環境改善や大学以外の高等教育機関で学ぶ学生への保障など何も考えていないわけです。そのことを放置したままで「東大よりも地方」「東大よりも厳しい状況の大学・学校」という理由で東大の学費値上げを容認することは、結果としてすべての青年の学ぶ権利が奪われていく状況を作り出すのではないかと危惧します。
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