耕した畑に種を蒔いて育てる野菜が多い中、田中農園の赤紫蘇の栽培方法は少し違う。とは言っても特別な方法を編み出したわけではない。昨年育てた赤紫蘇を数株残し花を咲かせ種を付けさせる。そしてこぼれた種が翌年の春勝手に生えてくる。それを苗にして畝に植え付ける。そしてまた畑の邪魔にならない所で数株残し種を落とさせる。それを繰り返している。隣の畑のお爺さんが作っていた赤紫蘇のこぼれ種がお爺さんが亡くなった翌年勝手に家の畑に生えてきたのが始まりだった。そのお爺さんが、近所の農家に私のことを「上手に野菜作りよる。」と言ってたぞと伝えてくれた。頑固そうな爺さんで直接言ってくれた事はなかったけれどちゃんと見ていてくれたんだなと嬉しかった。昨年その赤紫蘇をちゃんと採取して苗床に播種したら全く生えてこなかった。仕方がないのでこぼれ種が勝手に発芽したものを苗にして植えた。頑固さを受け継いでしまっているのかもしれない。夏を迎えたらそんな雑草のような赤紫蘇で作ったジュースを飲むのが楽しみだ。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。