春にだけ野菜を食べる虫がいる。無農薬の野菜作りに切り替えた初期のころ、春になるとある虫の食害が酷かった。十中八九食害を受け出荷で来る野菜が激減して困っていた。調べてみるとヤサイゾウムシの幼虫だということが分かった。農薬の散布以外に対策が無く私には、打つ手が無かった。が、数年で大きな被害は出なくなった。ただ居なくなったわけではない。春になると多少の食害はある。虫食い跡の有る株を見てみると必ず中心の新芽のところに小判型のコロンとした幼虫が潜んでいる。それが必ず一株に1匹ずつ居る。どうやって棲み分けているのか生態は、不明だ。それにしても大繁殖しなくなった事が不思議だ。上手く説明出来ないけれどこれを、「自然の妙」と言うのかもしれない。もし虫好きの昆虫学者が、農業をしたら多分無農薬栽培をするだろう。そしたらこの「自然の妙」は、絶好の研究対象になる。もしそんな昆虫学者が居たらタッグを組んでみたい。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。