日本学術会議の会員選考に政府が介入開始か?

菅政権のときに起きた、日本学術会議会員の任命拒否問題について、当時に連載で記事を書きました。6名の任命は拒否されたまま、問題は何も解決されないまま、会員の任期満了に伴う新会員の選考が始まっています。現在は学会等に対して、会員候補者となる研究者の情報提供依頼が来ているところです。
任命拒否問題発生当時、任命拒否という問題行動をとっているのは政府であるにもかかわらず、「日本学術会議を改革しなければならない」という意見が政府や自民党から出てきて、マスコミなどもその論調に乗って行くという現象がありました。その後、政府側からの動きが小さくなった時期もあったのですが、11月になって突然にNHKによる報道がありました。


日本学術会議法の変更の方向性に関する報道でしたが、この時点で政府から日本学術会議に対して、何の説明もありませんでした。日本学術会議としては、報道の内容が正しいのかどうかの判断もできない状態であり、梶田会長から抗議声明が出されました。
https://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/20221128.pdf
(PDFファイルが開きます)
そしてようやく政府側からの連絡があったのですが、NHKの報道の通りの内容でした。これでは日本学術会議の独立性が担保できませんし、海外の同様の組織からも対等な存在と思ってもらえなくなる可能性が大きいです。


実際に学術会議でも異論が続出しています。


冒頭で書いたように、すでに新しい会員の選考が始まっているにも関わらず、「第3者委員会が選考に関与する」として、選考プロセスを延期するようにという指示も来ています。すでに始まっている選考プロセスを停止させるということは、人事への介入開始と言ってよいのではないでしょうか。


なお、菅政権時代の経緯から今日に至るまでの振り返りと、現在起きつつあることの詳細については、東大教授で日本学術会議連携会員でもある隠岐さや香さんが、こちらの動画で詳しく話しています。

個人的にはこの方の記事にツッコミを入れたくなりました。


米国の学術界の話をしているつもりのようですが…。

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西垣順子<大阪公立大学 高等教育研究開発センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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