「犬にまつわる3冊」で紹介した「白い犬とワルツを」を改めてレビューしたので、「ダメ犬グー」もレビューしようと再読しました。作詞家で詩人のごとうやすゆきさんが愛犬グーとの日々をながおひろすけさんのイラストと共に綴ったエッセイで、2002年に出版された文春ネスコ版は現在入手が難しい様ですが、幻冬舎文庫になっています。
グーことグレイスは白いゆるキャラ的なイラストだけど、犬種はドーベルマン。巻末に載った写真はちょっといかつい。でもドーベルマンって獰猛でシャープなイメージなのに、廊下の角を曲がり切れずにお尻をぶつけたり、横むいた時に壁に思いっきり鼻をぶつけたりして、意外とドジ。臆病で雷や花火、掃除機などの電化製品を怖がったり、座っていると膝に頭を乗っけて来り。犬を飼ったことがある人なら、そうそう、うちの子もおんなじ、というエピソードが共感を呼びます。散歩中に気がつくと、トリのからあげをくわえていてビックリしたことも・・ああ、うちにいたコーギーもそんなことあったなと10年以上ぶりに思い出しました。
でも、そうした微笑ましい前半のエピソードから、後半は10歳を過ぎて老いを感じさせることが増え、急にヘンな歩き方をする様に。検査の結果、左腕のつけねに腫瘍がみつかり、不整脈も。人間の何倍もの早さで年をとる(大型犬は1年で7歳とか)犬との時間は、思った以上に短いことを思い知らされます。「心配してはホッとして。そんな繰り返し」とごとうさんは書いていますが、まさにそんな感じ。お別れの場面は自分の愛犬と重ねて、何度読んでも泣いてしまいます。犬との日々が当たり前になって、ついお世話がいい加減になりがちなので、気持ちを新たにする為にも、時々、再読したいと思います。犬を飼っている人は勿論、猫やウサギなどペットと暮らす人、暮らした経験のある人に、是非読んで頂きたい一冊です。(モモ母)