猛暑を超え災害級の暑さと、滝のような豪雨による水害が気がかりな今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
気象も気になりますが、新型コロナの状況も気がかりで、気づけば8月も1週間が過ぎようとしています。
さて、「ヤングケアラー」の存在に世間が注目を始めてから、実態調査が行われたり、相談窓口が開設されたりと、支援に向けた動きが徐々に進んでいます。私は小・中学校でスクールソーシャルワーカーとして働いていますが、学校内だけでなく、地域の皆さんからの「ヤングケアラー」への関心の高さも感じています。行政の相談窓口や体制構築でも考慮されていますが、ヤングケアラー支援は、その子どもが在籍する学校と行政だけで完結するものではなく、多年代の福祉支援の担当部署や事業所、そして地域の協力が必要です。
ところで、ヤングケアラーの課題も、認知症の方の介護や居場所の課題も、そして、災害時に一人での避難が困難な方への支援の課題も、どれも地域社会の在り方の影響は大きいと、つくづく思います。
私は、昭和50年代の生まれですが、都市部ではなく、程よく山間部の兼業農家が多いエリアで育ったため、子どもの頃は、どこの家にどんな人が住んでいて、身体の状況や生活の状況もなんとなく近所同士お互いにわかっている感じでした。
もちろん、今から30年、40年前では高齢化率も違うので一概に言えませんが、私が子どもの頃に暮らしていた状況で、自然災害が起こったとしても、足が不自由なあのおばあちゃんを近所同士で助けられたでしょうし、3軒隣の認知症らしいあのおじいちゃんがフラッと出歩いてたら近所の人が声をかけたでしょうし、もし、学校に行かずに家の手伝いをさせられている子がいたら、周囲はそれに気が付けたのではないかと思います。
私が育ったところでは、個人情報というのか誰が何をしたというのは、筒抜けでした。友人がお手伝いを失敗してお風呂を空焚きして壊してしまった、という、別に知らなくてもいい情報が、あっという間に村の中に広がって一瞬の笑いを誘って消えていくような状況でした。今思うと、ご近所さんとの距離感は信じられないぐらいに近く、本当に「調味料をかりる」ということがある世界でした。
今から、40年前の日本社会を再現するのは、難しいでしょう。人口構造は変わり、その中で人々の意識が変わりました。
とはいえ、やはり、何かがあった時に力になるのはご近所同士であり、それは大きな災害が起こった後の、救助に関する調査結果が物語っています。「遠くの親戚より近くの他人」という諺があるくらいですから、そんなことは昔から当たり前なのかもしれませんが。
防災と福祉の連携に関する取り組みでは、「地域調整会議」といって、地域の人みんなで〇〇さんの個別避難計画について考える取り組みを提唱しています。昔なら、私が住んでいた地域では「寄り合い」と言っていましたが、地域の人がしばしば集まって、いろんなことを話し合っていましたが、そのような集まりで、地域住民が知恵を出し合う場の取り組みを考えています。
ここで話し合うのは、個別避難計画の内容ですが、その場から生まれる繋がりは、災害の時に役立つだけでなく、ご近所さん同士の親しみを増やし、日頃のちょっとしたことから、お互いを気遣う関係性になるのではないかと思います。そうなれば良いと思います。
そうすれば、認知症の方がフラッと外に出た時や、どうやら子どもたちが介護の一員として動かなければならない状況の家庭の様子など、気がかりなことを気づきやすくなれるかもしれません。
もっとも、特にヤングケアラーの支援に関しては、周囲の気づきをどのように支援につなげるかは、別の課題として策を検討すべきことではありますが。
しかし、まずは、周囲が気づくというのは大切です。
これから、個別避難計画作成が少しずつ進んでいくと思います。もし、『地域調整会議』が開かれ、参加できる機会があれば、是非、参加していただきたいと思います。いろんな意見や考えを持ち寄って、一人の人の支援を考えることから、自分が住む地域を変えていくはずです。
今年の夏も、気象災害への警戒は必要な状況です。天気予報への注目と、できる準備からコツコツ始めましょう。そして、備えの一つとして、「個別避難計画作成のための地域調整会議」へもご注目ください。地域力UP!をめざして、できることから少しずつ、取り組んでいきましょう。