その方たちも社会のメンバーなんですが

「メンタリスト」という肩書で(おそらく自称)、テレビやネットなどで活動しているDaiGo氏がYouTubeで「生活保護受給者やホームレスの方を殺してもよい(なぜなら自分にとっても社会にとっても役に立たないから)」という趣旨の発言を行い、批判をうけて「謝罪」するということがありました。「あの、その方たちも、あなたが暮らすこの社会のメンバーなんですけど(←私の心の声)」
経緯はこちらの、生活困窮者支援団体が共同で出した声明から辿ることができます。


上で「謝罪」とカッコ書きで書きましたが、何が悪かったのかを理解していないという指摘も少なからずあります。特に、「生活保護受給者やホームレスの方の中にも、頑張って努力している人もいるのに(悪いことを言った)」という「反省」を述べていることについて、相変わらず努力の程度や方向でもって、人権や命を守られる人とそうでない人を分けても構わないのだと思っていることが見て取れるためです。
さてDaiGo氏の発信の後、厚労省はこのようなtweetをしました。以前にあった生活保護バッシングの際にはなかったことで、厚労省の意識も変わりつつあるのかもしれません。


生活保護についてありがちな誤解を解くための発信もあります。


ドキュメンタリー映像作家の飯田基晴さんはなんと、ご自身の映画を8月31日まで無料公開されました!


一方、DaiGo氏がどうしてあのような考え方になってしまったのか、同じように考える人を増やさないため、また彼自身がいまだに持っている誤解を解くためにどうしようかという発信もいくつかあります。


抱撲(ほうぼく)さんの一連のtweetは、うならされますね。特に「あなたにとってもそんな社会であれと思う」という一節。「あなた」にはDaiGoさんも、彼が今回傷つけた多くの人たちも含まれるのかなと思いました(全体が表示できないので、次のtweetの右上のハトのマークをクリックしてください)


さて個人的に、このDaiGoという人物に対しては昔から批判的でした。心理学の知識のごく一部を使って、「他人の心を読んだり操作したりできる、その方法を自分は知っている、教えてやろう」という態度が、「違うやろ」と思うからです。自分の心も、ましてや他人の心も、思うように動かしたり読み取ったりなんて、できはしないものですから。けれども実際には、彼に影響されて大学に入ってくる学生もいるのです。心理学を研究する方の、こんなtweetも見かけました。


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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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